◇15日 中日0―1阪神(バンテリンドームナゴヤ)=延長11回

 中日は15日の阪神戦(バンテリンドームナゴヤ)で、延長11回に決勝点を奪われ0―1で惜敗した。9回のピンチで無失点投球の先発・小笠原慎之介投手(26)に代え、守護神のライデル・マルティネス投手(27)を投入する執念の継投。立浪和義監督(54)の勝負手は勝利につながらなかったものの、勝利への決意を示した。16日こそ勝って、8カードぶりのカード勝ち越しを決める。 場内のどよめきは、勝利に対する立浪監督の執念へのリアクションだった。9回。先発・小笠原が先頭・中野に右翼線二塁打を許した。捕手・加藤匠は左腕のもとへ歩み寄る。ひと呼吸おいて大塚投手コーチはマウンドへ向かった。その時点で、ベンチの判断は絶対守護神への継投。同コーチが小笠原に降板を伝え終わるタイミングで、立浪監督はベンチを出た。球審へ交代を告げた。

 「何とか今日の試合を取りたい、というところ。ライデルも気持ちよくいってくれた。そこから点を取れなかった。どうのこうの言っても始まらない。明日、頑張ります」。立浪監督は判断を振り返った。

 勝てば勝率5割復帰で、負ければ借金2。優先事項のトップに勝利を据えて采配するのは指揮官の務め。援護がなく4試合連続で勝ち星のない小笠原に白星を付けたいに決まっているし、準備を含めてイニング途中でマルティネスをつぎ込むリスクも承知している。

 あらゆる選択肢をてんびんにかけ、最善策だと腹をくくったマルティネス投入。絶対クローザーは期待に応え、無失点で乗り切った。まだ5月、されど5月。シーズン終盤のような采配はベンチを鼓舞し、目の前の1勝をつかみにいく姿勢の表れだった。

 失点したのはセットアッパーのひとり、斎藤だった。延長11回。先頭・森下の左中間二塁打と中野の二ゴロで1死三塁。近本を追い込み、外角のボールで誘ってカウント2―2。ここから2球連続で内角勝負に出た。真ん中低めをファウルにされ、次も真ん中低めへ。構えたミットには投げきれず、右前へ決勝打を放たれた。...