◇17日 大相撲夏場所6日目(東京・両国国技館)

 平幕の宇良(31)=木瀬=が御嶽海との全勝対決を制し、6連勝で単独首位に立った。

 無心の宇良が、業師ぶりをきらめかせた。御嶽海の圧力にジリジリと後退したが、素早く右に動いて相手の左腕を手繰ってまわしを引いて逆転の出し投げ。初日からの連勝を自己最長を更新する6に伸ばし、初めて単独トップに立った。

 これまで2勝7敗と合口の悪かった御嶽海に初めて連勝。いつも通り、冷静に引き揚げてきた支度部屋では「分からないです」「何も考えてないです」と宇良節を連発。それでも、存在感は際立っている。目指す”沸かせる相撲”を取れているか―。「お客さんが決めること」と素っ気なかったが、大声援が答えだ。

 つれなく聞こえる言葉は、土俵への集中の証拠。熱い思いは胸に秘めている。今場所は初日から、母校の関学大から贈られた化粧まわしを着けて土つかず。母校愛が力になっている。

 ご当所の今年の春場所前には、表敬訪問に合わせて相撲部にも顔を出した。プロテインなどの差し入れだけでなく、同部のSNSも普段からチェックしているという。気にしているのは部員減。在学当時も10人前後と小所帯だったが、現在は5人。新入部員が紹介されると「何人か入ったんですね」と関係者へ連絡が入る。

 手本になるのはOBの務め。2度の右膝手術を経験し、幕内から序二段まで落ちた。はい上がって今年初場所は、幕内経験者として初めて序二段を経て新小結に昇進。今場所ははね返された三役の壁に再び挑む。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「自信を持っている気がする。押し合って最後で引く。地力があるから三役に上がった」と評価。7日目は琴桜戦。2場所連続の大関撃破でさらに勢いに乗りたい。

 化粧まわしに描かれているのは校章の三日月。新月が次第にふくらんで満月となっていくように、絶えず向上していく思いがこもっている。31歳。まだまだ成長していく。