◇22日 巨人2−4中日(東京ドーム)

 左腕のスーパープレーが湿りがちな打線に火を付けた。中日・小笠原慎之介投手(26)が22日の巨人戦(東京ドーム)に先発し、5回に小フライを果敢にダイビングキャッチするなど、6イニング2失点の好投。打線は6回に細川、カリステの連続適時打で逆転に成功し、44イニングぶりとなる援護点を小笠原に届けた。チームは4―2で競り合いを制し引き分けを挟んで2連勝。小笠原は1カ月半ぶりの2勝目を挙げた。 小笠原が飛んだ。5回無死一塁。セーフティーバントを試みた巨人・吉川の小飛球を追いかける。三塁線付近で右手を目いっぱい伸ばして飛び込み、グラブに収めた。

 「体が動いちゃいました。ケガのリスクは飛んだ後、『あっ、危ないかも』と思いました」

 浮かんだのは、生まれる2年前の1995年の出来事。右肘を強打して靱帯(じんたい)断裂に見舞われた巨人・桑田真澄(現・巨人2軍監督)のワンプレーは球界で語り草。過去に目にした映像が脳裏をよぎった。結果は「打ったのは胸です」と苦笑い。呼吸を整えて後続を二飛に抑えた。

 今季初の東京ドームだった。1年前は心を打たれて涙したグラウンド。開幕・巨人戦の先発を託された。145球の熱投。8回に逆転されたが、降板後にチームは再逆転した。チームメートの奮闘に胸は熱くなった。「ベンチ入りメンバー全員にそれぞれの役割があります。ボクにできないことはほかの人ができる。ボクはボクのできることをやるだけです」。

 あれから1年と少し。ダイビングキャッチして1点を防ぐ姿勢に野手が応えた。6回、細川とカリステの連続タイムリーで3点をゲット。助っ人の逆転2点二塁打には、ベンチ前で両手を掲げて祝福した。

 登板時の援護点は44イニングぶりだった。無援をどうとらえていたか。「周りは言いますけど、入るときは入りますし、入らないときは入らない。気になりません。それよりも自分のピッチングをする、そっちの方を大事にしています」。操作できるのは自分の行動。割り切って、優先順位をつけて登板へ準備してきた。

 投球の出来は「見ての通りです」。しょっぱい反応の理由は初回、丸に右翼席へ放り込まれた先制の先頭打者弾。今季初被弾。昨季5月5日の巨人戦(バンテリン)で広岡に許して以来となる先頭打者弾を浴びた。3回には追加点も許した。