中2週でも動きは一番―。平地、障害の二刀流騎手として活躍し、現在は土曜の本紙紙面でG1、障害重賞の予想「競馬しようぜ!」でおなじみの熊沢重文さん(56)が「第91回日本ダービー」(G1・26日・東京・芝2400メートル)に出走する18頭の調教を診断した。関西馬は栗東トレセンで、関東馬は映像でチェック。プリンシパルSを勝ち、中2週で臨むダノンエアズロックの重心の低い動きが一番いいと評価した。青葉賞勝ちのシュガークンも好走可能な動き。無敗2冠を目指すジャスティンミラノは動きに欠点がないと評価した。

  今年から取材する立場で栗東トレセンに通うようになりましたが、ダービーはスタンドからの視点でも現場の雰囲気が違います。主に関西馬は現場で、関東馬は映像で追い切りを全てチェックしましたが、基本的にはどの馬もよく動いていますね。競馬に携わる者すべての目標。ここに出てくる馬ですから。

 乗り役としては、それぞれの馬のいいところを探してあげようと動きを見るのが習慣になっています。けれど、馬券のことを考えると、現状の悪いところも探して検討材料にしなければなりません。切りがなくなりますからね。あら探しの視点は、まだまだ難しいです。

中2週でも陣営の攻めている姿勢

 その中での比較ですが、動きに関して1番目を引いたのはダノンエアズロックでした。僕の好きな感じの馬なんです。重心がすごく低いし、「行くぞ行くぞ」という気持ちが表に出ていました。それでいてしっかりコントロールできているのは能力の高さの表れです。手前の変換も鋭くて、手前が変わる瞬間も軸がぶれない。それだけ体幹がしっかりしているということです。

 特に関西馬に多いのですが、1週前に目いっぱいやって、最終追いはある程度セーブ気味になるという陣営も多い中、プリンシパルSを勝っての権利取りで、間隔最短である中2週の2頭のうちの1頭であるこの馬が、これだけしっかりいい動きを見せたというのは、それだけ陣営が攻める姿勢を見せているということでもあります。

 関西馬ではシュガークンの動きがよく見えました。この馬も青葉賞からの臨戦で、皐月賞組よりも間が詰まっていますが、この馬らしい切れのある走りです。見た感じでは疲れが残っているとか、硬さとかは見受けられません。状態としては好走できるレベルにあると思います。

 ゴンバデカーブースも重心を低く保っていて、いい動き。右に舌を越していましたが、折り込んで乗れば大きな問題にはならないでしょう。スパートをかける合図は手綱を放つので、ハミがかかっているかどうかには関係なく、舌を越していても大丈夫。影響があるのは道中の細かい位置取りです。左右の修正に苦労することが多いです。車に例えればステアリングがすごく重い状態です。広い府中なら、その点の影響も比較的小さくなります。

 ジャスティンミラノは突出してすごい動きをしているわけではないのですが、ここまでもそういう動きでこれだけの結果。欠点を探そうとみても見つからないのが強みでしょうか。レガレイラは牝馬の分、大事に乗り込んでいますが、いい状態をキープしています。

 シックスペンスはビシッとは追えていないけれど、シャープで動きに切れはあります。コスモキュランダは抑え気味なメニューながらもしっかり併せて動いています。