◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」

◇15日 ロッテ10―0中日(ZOZOマリン)

 先発・横山に始まって5人の継投で零敗を喫した。初めて見たブルペンデー。僕が初めてということは、中日の選手がやるのも初めて。くみしやすしかと思われがちだが、どうやらそうではない。ミーティングで事前に対策を立てづらく、打者は打席ごとに対戦投手が代わるからだ。

 ロッテでは珍しいことではなく、今季は2戦2勝。前回のソフトバンク戦(5月26日、ZOZOマリン)も8投手で強力打線を1失点に抑えている。昨季も3勝1敗。オリックスとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦では、CS史上初のブルペンデー。敗れはしたが8回に2点を失うまで踏ん張った。では勝つ確率が上がる堅実な策なのかと言われれば、そうでもない。そもそも奇策ではなく苦肉の策なのだ。

 本来なら中6日で佐々木。ところが右上肢のコンディション不良で、13日に出場選手登録を外れた。2日前に決まったブルペンデー。投手たちにとっては負担が重くなる。だから成功するだけでなく、全員が無事に投げ終えるための鉄則がある。

 「横山、高野(脩)、広畑。この3人が頑張ってくれた。(順番やイニングは)予定通り。この3人で6回まで2失点というのが最初に立てた計画でしたから、それ以上の結果を残してくれました」

 投手コーチ時代から何度もブルペンデーを実行しているのが吉井監督。単にリリーフ陣でつなぐわけではない。投げる順番は厳密に守り、イニング数も事前に伝える。「いけるところまで」という方式は絶対にやらない。中1日の横山が2イニング。吉井監督がブルペンデーで最も重視する2番手には、5月31日以来の登板となる高野脩を送った。中2日の広畑と3人で7イニングを無失点。すでに勝敗は決しており、9人いた投手のうち4人は温存できた。

 「ブルペンデーが(監督としての)100勝目になるのは自分らしいかなと」

 つなげばつなぐほど、打たれるリスクも高まるのが継投だが、5人で5安打、無四球。苦肉の策に一矢報いることすらできず、試合は終わった。