アート作品と自然、ノスタルジックなまち並みが揃う島で「感じ良い暮らしと社会」を

瀬戸内海に浮かぶ香川県の豊島は、西隣の直島と並ぶアートの島。瀬戸内のアート巡りで必ず訪れたい場所です。

瀬戸内海に浮かぶ香川県の豊島

その豊島に滞在型宿泊施設〈MUJI BASE TESHIMA〉がオープンします。世界最大級の宿泊予約プラットフォーム、〈Airbnb〉で予約受付が始まりました。

面積14.5キロ平方メートル、人口約760人の豊島は、水が豊富に湧き出し、緑が多く自然に恵まれています。集落の古いまち並みは、長く潮風にさらされてノスタルジックな雰囲気です。稲作を主とした農業もさかんで、海を臨む傾斜に棚田が広がり、温暖な気候を利用した柑橘の果樹栽培も行われています。

家浦集落

一時は産業廃棄物の不法投棄が大きな問題になりましたが、現在では廃棄物の処理も進み、環境の再生を目指した取り組みが続いています。

MUJI BASE TESHIMAの建物は家浦集落にある築90年あまりの古民家。その名前の通り、所有・運営を行うのが〈無印良品〉を展開する〈良品計画〉です。建物は2010年に瀬⼾内国際芸術祭が開催されたタイミングで、作品兼レストラン運営スタッフの寮としてリノベーションされました。

MUJI BASE TESHIMA

その古⺠家を良品計画が受け継いで、内装の企画とデザインを担当。良品計画が提案する「感じ良い暮らしと社会」を体現する空間が出来上がりました。

インテリアは日本の美意識や見立てがテーマ

日本の美意識や見立てがテーマのインテリア

リノベーションは大胆に行われました。リビングとダイニングの間にあった水回りを撤去。リビングでは壁の一部を撤去してルーバーを設置することで圧迫感のない開放的な寝室空間が作られました。フローリングには新たに無垢材が取り入れられています。

良品計画が展開するインテリアブランド〈IDEE〉が担当した室内のコーディネート

室内のコーディネートは良品計画が展開するインテリアブランド〈IDEE〉が担当。アートの島として知られる豊島の宿泊施設にふさわしく、日本の美意識や見立てをテーマにしつらえられています。日本のヴィンテージ家具、モダンデザインのインテリア、日本のアーティストによる作品の他、瀬戸内を中心に活動する現代作家の器もセレクト。

他にもレコードのセレクションやMUJI BOOKSによる選書本、無印良品の家具や家電、無印良品と瀬戸内の食品もアメニティの一部です。

良品計画とAirbnbが一緒になって地域のにぎわいづくりに寄与

〈MUJI BASE KAMOGAWA〉に続いて2件目のMUJI BASE

〈MUJI BASE〉という名前の施設は千葉県鴨川市にある〈MUJI BASE KAMOGAWA〉に続いて2件目。「地域文化の体感基地」をコンセプトに、自然と共生しながら、地域の文化や食材を活かした生活を体験することで、訪れる人々に新たなライフスタイルを提案しています。また都市から離れた場所での穏やかな日常を体験し、地域の魅力を再発見するための場所となることを目指しているのだとか。

どちらの施設も世界最大級の宿泊予約プラットフォーム〈Airbnb〉に掲載され予約できることも特徴です。実はAirbnbと良品計画は、2022年9月に「全国の遊休不動産の共同プロデュースを行い、日本の宿泊施設の多様化と地域のにぎわいづくりに寄与する」ことを目的に包括連携協定を締結。MUJI BASE TESHIMAは、この協定に基づいた取り組みのひとつです。

MUJI BASE TESHIMA

瀬戸内海の温暖な気候と穏やかな海に囲まれたアートの島、豊島。MUJI BASE TESHIMAの存在は、アート作品を見ることだけを目的にするにはもったいないと島で長く時間を過ごす人を増やしていきそうです。

information

MUJI BASE TESHIMA 

住所:香川県小豆郡土庄町豊島家浦2358

収容人数:最大4名 ※3名以上の場合、3人目から1人1泊につき5000円追加

料金:1泊1棟2名49000円〜。別途清掃費15000円。

※2泊以上の予約のみ

チェックイン:15:00〜17:00 チェックアウト:10:00

web:MUJI BASE TESHIMA

*価格はすべて税込です。

writer profile

Saori Nozaki

野崎さおり

のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。