2024年1〜4月にCREA WEBで反響の大きかった記事ベスト7を発表します。旅部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024年2月9日)
エティハド航空は、UAE(アラブ首長国連邦)の7つの首長国のひとつ、アブダビを拠点とする国営航空会社。アブダビ首長国にはUAEの首都アブダビ市がある。隣のドバイからは車で約1時間半というロケーションだ。
2023年10月からエティハド航空の関西―アブダビ便が運航を開始し、その初便に搭乗することができた。初便というのは、航空会社にとっても搭乗客にとっても特別なもの。今回は出発地の関西国際空港で、テープカットなどのセレモニーが催された。搭乗客にはギフトも配られ、機内の雰囲気も高揚感たっぷり。その初便のビジネスクラスでのフライトをご紹介しよう。
アブダビ行き初便の搭乗客に課されたミッションとは!?
エティハド航空関西行きの初便は10月1日にアブダビを出発し、10月2日昼前に関西国際空港に到着。関西発アブダビ行きの初便は、同日夕刻にアブダビ国際空港へと出発した。搭乗待合室で催されたセレモニーは前回ご紹介した通り。今回はいよいよ機内の様子をご紹介しよう。
ボーディングブリッジの先では、「Welcome aboard!」と、2人のCA(客室乗務員)さんが出迎えてくれた。
前回も触れたが、チェックインカウンターで、搭乗券とともに映画と同じロゴで「MISSION:IMPOSSIBLE」と書かれた黒いリーフレットを受け取った。中には、エティハド航空日本支社長の稲場則夫氏からの「MISSION(任務)」が!
初就航便搭乗のウエルカムメッセージの後に書かれていたミッションは、「映画にちなんで特別に用意された、機内エンターテインメントを満喫すること」。メッセージの最後には、「なお、この特別な任務は、当機がアブダビ国際空港に到着するのと同時に消滅します」とあり、ユーモアたっぷり!
配られたギフトの袋の中には、前回もご紹介した、OSAKAのロゴとイラストが入った扇子とラゲージタグが。扇子には台座が付いていて、CAさんに手伝ってもらいながら組み立てると、華やかな飾りに。旅の思い出とともに持ち帰ることができる。
関空からアブダビまでのフライトはビジネスクラスとエコノミークラスの2クラスのみで、ファーストクラスの設定はない。今回ご紹介するビジネスクラスのシートは、前方向き(進行方向向き)の席と、後ろ向き(進行方向と逆の向き)の席が互い違いになっている。これは限られたスペースの中で、少しでも占有スペースを広くするためだ。シート脇の物入れもたっぷりサイズで、使い勝手がいい。
クッションと読書灯にはUAEの伝統的な図柄が使われていて、機内から既にアラビアンナイト気分にさせてくれる。ウエルカムシャンパンを飲みながら、「『MISSION』達成のために楽しまなくっちゃ!」と意気込んだのだった(笑)。
好きなときに好きなだけ。バラエティ豊かな機内食
関西からアブダビまでのフライトは、関西国際空港を17時15分に出発し、アブダビ国際空港に23時55分に到着する。所要時間は11時間40分(帰路は8時間40分)だ。機内食はすべてアラカルトで、好きなタイミングで食べることができる。
メニューは、前菜、メイン、チーズ、デザートから選んで、あらかじめ提供時間を決めておくコース料理と、フライト中いつでもオーダーができる軽食の2本立て。コースといっても、1品ずつ選んで自由にカスタマイズできる。今回は夕方のフライトなので、最初の食事にコースを、2回目の食事に軽食をお願いした。
この日のコースのラインナップは以下の通り。前菜は、アラビア風前菜、リコッタチーズとトマトのサラダ、パンプキンスープ。メインは、ローストチキンのハーブクラスト、鮭の柚庵焼き、牛肉のコフタ、リガトーニ・アラビアータ。食後はチーズかデザート、または両方。デザートは、塩キャラメルタルト、抹茶ティラミス、季節の新鮮なフルーツ、ハーゲンダッツアイスクリーム各種。
シャンパンを飲みながらメニューとにらめっこ。メインの鮭と牛肉で迷ってしまった。今回はラウンジ取材がなかったので、お腹はペコペコ。思い切って両方とも、メインを2皿いただくことに(笑)。CAさんは笑顔で私のわがままを聞いてくださった。
最初に選んだのはアラビア風前菜。中東系のフライトのメニューには必ずある伝統料理だ。けっこうボリュームがあるものの、野菜もふんだんに使われていて見た目よりも軽く、おいしく食べることができる。
メインの鮭は、大きな切り身で、アップルソースのほのかな甘みが満足感たっぷり。前菜に続きこちらもけっこうなボリュームだったので、もう1皿食べるためにご飯は少し控えめにした。
2皿目のメインは、牛肉のコフタ。コフタというのは、トルコなどでキョフテと呼ばれているミンチ肉を使った中東のミートボール。こちらは、中東では調味料としてもポピュラーなヨーグルトソースで。ヨーグルトが肉をまろやかにしていて、メイン2皿目ながら完食してしまった。野菜のソテーがたっぷりで、スルリと胃袋に収まる1皿だった。
フルフラットのシートでぐっすり眠った後の食事は、朝食というよりも夜食の時間帯。朝食用の卵料理などはなく、メニューは以下のラインナップ。ローストビーフサンドイッチ、寿司の盛り合わせ、鶏肉の照り焼き、水菜とラディッシュのサラダ、クッキーシュー、ポテトチップス、クッキー、マドレーヌ、アラビア風バクラヴァ(パイ生地とナッツを使った甘いお菓子)。
鶏肉の照り焼きとサラダを選んだ。コーヒーは、ホットとアイスを含めて17種類もあって迷ったが、マキアートを選んだ。機内ではめずらしかったので。コーヒーの香りを楽しみながら、モニターでアブダビの観光案内を見ていたら、いよいよアブダビだと胸が高鳴り始めた。
初就航便のギフトとアメニティ、到着後まで続くホスピタリティ
機内で配られるアメニティは、イタリアの高級フレグランスブランド「アクア ディ パルマ」のもの。同ブランドのイメージカラーの深いイエローのポーチの中には、「アクア ディ パルマ」を代表する香り「コロニア」のオーデコロンとハンドクリーム、アイマスクとソックス、歯ブラシと歯磨き粉、さらに除菌ジェルと除菌シートが入っている。機内用のスリッパは、パイル地のキルティングでふかふかの履き心地だ。
アブダビの空港に到着すると、さっそくアバヤを着た女性グループと遭遇。一気に中東の雰囲気に。
ビジネスクラス以上の搭乗客は、あらかじめ予約することでショーファーサービスを利用することができる。「ショーファー」とはフランス語で「お抱えの運転手」のこと。空港からホテルまで運転手付きのハイヤーで送り届けてくれるのだ。車内には、水、おしぼり、wi-fiが完備されている。もちろん、すべて無料だ。
11月から運用が始まった新しいターミナル(ターミナルA)の、手荷物受取ターンテーブル10番近くに、ショーファーサービス予約者専用の待合室が新設された。ソファ、シャワー、ソフトドリンクやスナックなどが用意されている。
待合室の受付でショーファーサービスを予約している旨を伝えれば、外で待っているハイヤーまでエティハド航空のスタッフが案内してくれる。関西からのフライトは、深夜の到着。ロングフライトで疲れていても、深夜でも、これなら安心してホテルに移動することができる。
ファーストクラスにはよくあるが、ビジネスクラスでショーファーサービスを提供している航空会社は、ほぼない。目的地までの手厚いホスピタリティが、エティハド航空の魅力のひとつとなっている。航空券の種類によっては利用できないこともあるので、確認してから予約しよう。
【取材協力】
エティハド航空
https://www.etihad.com/ja-jp/
たかせ藍沙(たかせ あいしゃ)
トラベル&スパジャーナリスト。渡航160回超・70カ国超、スパ取材300軒超、ホテル取材2000軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。主な著書は『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)、『美食と雑貨と美肌の王国魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、『LOVE! ROSE薔薇のチカラでもっとキレイになる!』(宝島社)。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい世界の楽園リゾート』『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに...青の楽園へ』(ともにPHP研究所)。
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文・撮影=たかせ藍沙