手榴弾が投げ込まれる事件

 4月24日、6代目山口組の定例執行部会議が開かれた。

 注目すべきはその長さ。終了までに5時間以上を要したというのだ。

 むろん、それだけ組織にとって重要なテーマがあったとされているのだが、一体何が話し合われていたのか。

 6代目山口組の2次団体・瀬戸一家(本部:愛知県瀬戸市)で行われた定例の執行部会議は午前11時から午後4時過ぎまで開かれたという。長さもさることながら話し合われた内容も深刻なものだったという。

「先日、池田組の田中勇次副本部長の自宅に手榴弾が投げ込まれる事件がありました。犯人がまだ特定できておらず、手榴弾をどこの誰が投げ込んだのかに注目が集まっていました。なお、田中副本部長はその後、池田組を辞めて独立組織としての活動を選んだようです」

 と、担当記者。この手榴弾の件が、今回の執行部会議でのメインテーマだったとされる。

高山若頭の憂慮は

 事件後、犯行を行った可能性がある組織として、池田組と抗争状態にある6代目山口組の2次団体や3次団体の名前があがっていた。会議を取り仕切った高山清司若頭はこの件を大きな問題と捉えているため、会議には名前のあがった団体の関係者も呼ばれ、犯行への関与が確認されたという。が、名乗り出る者はいなかったとされる。

 高山若頭は何を憂慮しているのか。

「特定抗争指定から外れたいと考えているようです。これに指定されると、組員が事務所に出入りしたり、組員5人以上で集まることができなかったりして、相当な足かせをはめられているという認識があるわけですね」(同)

 竹垣悟氏(元山口組系義竜会会長で、現在はNPO法人「五仁會」を主宰)によると、

「高山若頭の懸念はまさにそこにあると聞いています。特定抗争指定に抵触しないようにここ最近うまくコトを運んできたと考えているのでしょう。それなのに、こんな荒っぽい事件を仮に身内が起こしたとすれば大事です」

殺傷能力が高い

 以前の記事(6代目山口組「抗争回避」の兆しなのか 総本部責任者が新たに任命された背景)でお伝えしたように、先日、6代目山口組総本部の責任者が任命された。これも特定抗争指定から外れて、総本部が使用可能になることを想定しての人事だと見られている。

 高山若頭側からすれば、着々と進めてきたプロジェクトが手榴弾で台無しにされてはたまらないだろう。

 言うまでもなく手榴弾は極めて殺傷能力が高い。こんな事件に組織が絡んでいるとなれば与える影響は少なくない。特定抗争指定から外れたり、ひいては総本部の使用が可能になったりということは望めないだろう。

「ただ、今回は手榴弾が湿っていたか、火薬の量が減らされていたかで、想定以下の破壊力だったようです。犯行を行った側が手加減した可能性もあるようです」(先の記者)

“手加減”があったとして、その理由は、現時点では判然としない。仮に作為的なものだとすれば、「相手に抗争を仕掛けたいが決定的な打撃を与えるのはまずい」との意図があったと読み取れなくもない。6代目山口組のみならず各組織が固唾をのみ、事態を見守っている状況のようだ。

デイリー新潮編集部