「NHKマイルC・G1」(5日、東京)

 今年3月に厩舎を開業したばかりの福永祐一調教師(47)=栗東=が、チャンネルトンネルでG1に初挑戦する。勝てば、開業初年度のJRA・G1制覇は84年のグレード制導入以降7人目。開業日から「61日」での初Vとなれば、森秀師の「69日」を上回る最速記録となる。チャンネルトンネルは1日、栗東坂路で最終リハ。雨で重くなった馬場もものともせず、順調な仕上がりをアピールした。

 新コンビの岩田望を背に栗東坂路で単走。中2週の間隔を考慮して最後まで馬なりに徹したが、降雨の影響で重くなった馬場も問題なし。力強いフットワークで駆け上がり、十分なほどの仕上がりを誇示した。

 ◆福永祐一調教師   

 −転厩初戦の前走は3着。

 「いいポジションで競馬をしてくれましたし、言うことないです。うまく乗ってくれました。そこから差し切ってくれたら文句なかったけど、勝ち馬も強かったしね」

 −前走から中2週。ここまでの調整過程は。

 「使ってきた馬なのでコンディション重視で。大きなダメージもなく調整できて、順調に来ています。体つきも前よりいいですしね」

 −最終追い切りは栗東坂路で4F54秒6−39秒8−12秒6。

 「雨で馬場は重かったですが、思い通りにやってくれました。感触をつかんでくれましたし、良かったと思います。あとは当日のテンションですね。馬房ではうるさいけど、トレセンでは問題ない。そのあたりが、うまく改善されていれば」

 −父は自身が手綱を取ったグレーターロンドン(17年安田記念4着)。

 「父とは似ていないね。グレーターロンドンも良くなったのは遅かったし、(チャンネルトンネルも)これからの馬だと思います」

 −条件は東京マイルに。

 「いいと思います。右手前の走りがいいから左回りはいいかな」

 −いよいよ調教師として挑む初めてのG1。

 「普段とそんなに変わらないです。やることは一緒だしね。そういう(G1に挑戦できる)馬がいるからといって、士気が上がるかと言われると、どうかな。安田(隆行)厩舎から来ている人が多く、みんな慣れているから(笑)」

 <調教診断>アーリントンC3着から中2週。トレセンではおとなしく、課題のテンション面をジャッジするには難しいタイプ。ただ、馬なり中心の調整で、ジョッキーが騎乗しても冷静沈着に登坂していた追い切りを見る限り、問題ないとみる。

 前走のレース後、福永師が「パドックからテンションが高く、その分で最後は止まった」と振り返っていたように、落ち着いてさえいればもうひと伸びできたはず。あとは長距離輸送がどうかだが、この段階までは順調に来ていると断言できる。