東京の百貨店で1000万円相当の金の茶わんが盗まれ、古物店に売られるという事件が最近ありましたが、もしも自分が盗まれたものがメルカリなどのフリマアプリに出品されているのを見つけたら、どうすればいいのでしょうか。

フリマアプリに限らず、ネットオークションでも似たようなことは起こり得ます。奈良県葛城市のお寺で昨年盗まれた仏像を落札した人が持ち主である寺に返したことが話題になりましたが、このケースのように、個人が盗まれたものも同じように返ってくるのでしょうか?

■被害者保護の仕組み──2年以内なら返還請求できるが弁償が必要

盗品を出品したのが窃盗犯である場合は、警察などに協力してもらいながら出品者つまり犯人に返却や賠償を求めることになりますが、返ってくるとは限りません。というのも、もし既に売却済みで、買った人が「盗まれた品物であること」を知らなかったら、取り戻せないからです。

また、出品した人も盗品と知らずに買い取ったものをメルカリ <4385> に出品していた場合は、出品者に正当な所有権がある一方で、本来の保有者(盗まれた人)は返還請求の権利を持っています。

ただしそれには条件があり、盗難から2年以内であることと善意(盗品であることを知らなかった)の第三者(ここでは出品者)が支払った代価の弁償しなければいけません。

例外もあり、盗難から1年以内で、善意の第三者が古物商であった場合は、無償返還を請求できます。

■盗品を見つけたら警察に通報──スクショでの証拠保全が大切

メルカリなどネットフリマで自分のものと思われる盗品を見つけた際は、どうすればいいかというと、まずは警察へ通報しましょう。フリマの運営企業にも連絡すべきですが、実際には「盗品かどうかの判断ができない」などと言われてしまうようです。

その際、出品物が消されてしまうのに備えて、出品画面を撮影(スクリーンショット)しておきましょう。出品者のユーザー名、自分のものと判断できる写真・説明文などを証拠として残しておきます。

過去の事例では、出品画面を証拠として被害届を出し、犯人逮捕につながったこともあるそうです。

■メルカリに出品された盗品を取り戻した実例

ネットで話題になった事例として、メルカリに出品されていた自分の自転車を自ら買い取り、無償で取り返したという出来事があります。この場合、ポイントとなったのは、「受け取った後に評価をせずに警察に相談」したことです。

実際の流れは以下の通りです。

1 自分が盗まれた自転車を購入
2 自転車が到着、受け取った後に「受取評価」せずに警察に相談
3 盗品と認められ、代金の返却を受ける

通常、フリマアプリで購入した人は、品物を受け取った後に「受取評価」をしますが、それをしなかったわけです。というのも、購入代金は、受取評価がされるまでは出品者に代金が振り込まれない仕組みだからです。

出品者への代金の支払いが行われる前に盗品と認められたため、メルカリに支払ったお金が被害者に返ってきたということです。

この方法が必ずうまくいくとは限りませんし、法律的な位置付けの是非は不明ですが、そうやって取り戻した人がいるということは参考になるでしょう。

文・浜崎遥翔(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部