ティーショットがナイスショットだったのにボール地点に行ってみるとディボット跡に……。グリーンを狙える状況のはずが一転してピンチになってしまうディボット跡からのショット対処法を聞きました。

「短い番手で打てる距離」にはディボット跡が多い

 フェアウェイのディボット跡とは、ショット時に芝を削った跡のことです。専用の砂で埋め均す目土を行うのがマナーですが、一般営業のゴルフ場ではプレー進行上、全てのショットで目土を行うのは難しいのが現実。

せっかくのナイスショットがフェアウェイに行ってみると「ディボット跡」。どうやって打つのが正解なの?
せっかくのナイスショットがフェアウェイに行ってみると「ディボット跡」。どうやって打つのが正解なの?

 特にゴルフ歴の浅い人が多い混雑コースの場合、目土マナー以前にコース内の渋滞の方が問題になっています。

 せっかくティーショットがよくてもセカンドショット地点に行ってみると、ディボット跡にボールがすっぽり入っていることは珍しくありません。

 キレイに目土されていれば「フェアウェイバンカーのつもり」でダフらないように打てばいいのですが、「ターフが取れて穴の空いた状態」のディボット跡にボールがある場合はかなりのトラブルです。

 プライベートラウンドで仲間同士のローカルルールとして6インチリプレースを採用していれば別ですが、現実では「ズラしていい?」なんていえないので頑張って打つ人がほとんどでしょう。

「短い番手で打てる距離」のフェアウェイでは、ショット時に「ディボット跡」ができるもの
「短い番手で打てる距離」のフェアウェイでは、ショット時に「ディボット跡」ができるもの

 自分のボールがディボット跡にあるのは不運ですが、基本的に「短い番手で打てる距離」のフェアウェイにはディボットがたくさんできるものです。後から回る人のためにも必ず「目土」を行ってください。

ディボット跡に入ったボールは目標に対して先よりも手前のほうが難しい

 ディボット跡にボールがある場合、その跡が深いほどボールが沈んだ状態からのショットになります。全く目土をしていない深いディボット跡の中にボールが3分の1以上沈んでいたら完全にお手上げです。ウェッジでうまくリーディングエッジ(刃)がボールの下に入れば、「ナイスアウト」と思い割り切って振るのが無難です。

ボールが芝に沈んだ状態になるディボット跡からのショットは、ターゲットに対して先にあるよりも手前にボールがある方が難しい
ボールが芝に沈んだ状態になるディボット跡からのショットは、ターゲットに対して先にあるよりも手前にボールがある方が難しい

 今回は「浅めのディボット跡」から、ちょっとうまく打てたらグリーンに乗せられる状況からの対処法をお伝えしたいと思います。

 まずは状況判断からです。「ディボット跡のどこにボールがあるか?」を観察してみてください。

 目標方向に対してボールの手前にディボット跡がある状況なら、「ほぼベアグランド状態」なのでトップしやすいだけで普通に打てると思います。

 難しいのは「ディボット跡の後ろ」にボールがある状況の場合です。ロフトが立った番手ではボールの赤道に当たりチョロになりやすく、短い番手で力任せに打っても沈んだボールに手前の芝にヘッドが当たりダフってしまいます。

 まずはリーディングエッジ(刃)がボールの下に入る短い番手を選び、決してボールを上げようと欲をかかずインパクトの抵抗に負けない「ややしっかりしたグリップ」でスイングしてください。

「鋭角なダウンスイング」も「ハンドファースト」もミスになる

 アマチュアからよく質問されるのが、「鋭角に打ち込む」「ハンドファーストを強くする」のは正しいのか、ということです。

 当然ですが、大きなトップからボールを高く上げるようにスイングしてもディボット跡からナイスショットにはなりません。どちらかというと、やや左足に体重が乗ったまま振り切るつもりで、沈んだボールに届くようにインパクトの最下点がボールの先になるようにスイングします。

鋭角なダウンスイングやハンドファーストインパクトよりも、ボールの2〜3個先まで打ち抜く長いインパクトをイメージすることで入射角は最適化する
鋭角なダウンスイングやハンドファーストインパクトよりも、ボールの2〜3個先まで打ち抜く長いインパクトをイメージすることで入射角は最適化する

 しかし、極端な「鋭角過ぎるダウンブロー」や「ハンドファースト」では、ロフトが立ち過ぎて前に飛ばなくなってしまいます。

 ディボット跡からのショットでは、すでにダウンブローになるボール位置でのアドレスなので、過剰なスイングイメージより「当たり負けしないようにグリップをしっかり」「リキまず振り切る」ぐらいのシンプルなイメージだけで臨んだほうが大きなミスになりにくいはずです。

 地面が極端に硬くなければ、「中弾道でグリーン手前に着弾してナイスオン」が150ヤード以内の距離なら十分可能なはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

猿場トール