「なるべく急斜面での山菜取りは控えていただきたいです」 緊急時は冷静な行動がポイントに

 休日のバイクツーリングで、心地よい風を感じながら走っていると、まさかの緊急事態が……。道路脇の斜面から、人が落ちてきたのだ。転落したのは、山菜取りに来ていたとみられる年配の男性。バイク運転の目撃者はすかさず救護対応。現場で言葉を交わし、その場では無事を確認したという。たまたまツーリングを撮影しながらだったため、発生当時の瞬間も記録されている。当日の詳細を聞いた。

 現場は新潟・八方台、ゴールデンウイーク(GW)連休中の5月3日のことだ。晴天の風景を楽しみながらバイクを走らせていると、違和感を覚えた。

 右脇の急斜面から、人が落下してくる様子が目に入ったのだ。

 普段から山などにバイクでソロツーリングをしている車のく-まさん(@VTEC25522030)。「今日、八方台でバイクで走っていたらおじいさんが落ちてきた」。Xでこう報告した。

 当日の出来事について改めて聞いた。「落ちてきたおじいさんは80歳ぐらいだと思います。山菜を取ろうと登っていたところ、滑落してしまったみたいです」。

 目撃した直後に路肩にバイクを止め、すぐさま駆け寄った。「まさか上から人が落ちてくるとは思わなかったので、もし落ちてくるところを見ていなかったら、すぐに駆けつけなかったかもしれません」と振り返る。

 けががないかを聞いた後、眼鏡や帽子などが散乱していたためすぐに回収した。そして、「救急車を呼ぼうとしたら、大丈夫だと言われたので取りやめました」。

 病院受診について念押しし、「連絡先を交換はしていないのでその後は分かりませんが、お年を召された方だったので必ず病院に行くよう言っておきました」と話す。本人が救急車の通報を固辞したため、どうするかを判断するのに難しさはあったが、車のく-まさんはその場でできることの最善を尽くした。

 転落の瞬間を捉えた生々しい映像は反響を呼び、690万回以上の閲覧数となっている。コメント欄には「偶然通りがかって奇跡でしたね」「ビックリしますね」「ヤバいやん」「迅速な対応素晴らしいです!!」「幸いにも車が走って来なくて救助者がいてくれて良かったです」「凄い場面に出くわしましたね…」など、驚がくしたという声が多く寄せられた。

 偶然通りかかって緊急事態に見舞われたが、冷静に対応した。「普段から困っている人やけがをしている人をいたらためらわずに声をかけています。こういった事故などに遭われた方は放心していることが多いので、まずは周りを確認して危険がないかどうか安全を確保してから声がけをしています」と、普段からの人助けの行動について語る。

 山登りのシーズンがまもなく本格化する。山菜取りなどで慣れた山道を登るにも予期せぬリスクが潜んでいる。高齢者は自分の健康状態や体力に見合った活動をすることも大事で、改めて注意が必要だ。

 車のく-まさんは「道端で倒れている人がいたらちゅうちょせずに声をかけてあげてください。特にご高齢の方は痛くても大丈夫と言ってしまいがちなので、注意深く確認をしてください。今回のように自分は慣れているからと言って急斜面での山菜取りをして滑落して亡くなっている方も多いと聞いています。なるべく急斜面での山菜取りは控えていただきたいです。山菜取りや山に行く時は2人以上で行くようにお願いします」と呼びかけている。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム