12年に渡って特番『中尾彬!美食の花道』に出演

 俳優の中尾彬(なかお・あきら)さんが16日、心不全のため亡くなった。22日、所属事務所の古館プロジェクトが発表した。81歳だった。訃報を受け、Daiichi-TV(静岡第一テレビ)の番組『中尾彬!美食の花道』で、中尾さんと共演していたタレント・久保ひとみがENCOUNTに故人との思い出を語った。

『中尾彬!美食の花道』は、2003年3月23日から15年1月25日まで、計13回放送された不定期特番。タイトル通り、中尾さんが久保、同局の秋元啓二アナウンサーと美食を求めて静岡県内を巡る番組だった。静岡県民にはお馴染みの番組で05年6月19日の放送回では、中尾さんが久保と秋元アナを東京に招いて、浅草、銀座の美食を紹介していた。

「最初にお会いする当日は『あの怖そうな中尾さんとご一緒するなんて』とビビッていましたが、本当にお優しい方ですぐにスタッフや秋元アナ、私にも心を開いてくださいました。そして、静岡のことを大好きになられてよくプライベートでも来られていました」

 番組には妻の俳優・池波志乃もたびたび出演。芸能界きっての「おしどり夫婦」で知られる2人だったが、カメラが回っていないところでも仲睦まじかったという。

「中尾さんが甘えて駄々をこねる姿が印象に残っています。それでも、志乃さんが『ダメですよ』と言ったりして。志乃さんがいらっしゃない時でも『これ、志乃が作ってくれる朝食』と言って、デジカメで撮った写真を見せてくださいました。毎食、志乃さんが『ご飯にしますか、パンしますか』と聞いて、それに合うおかずを作っていたそうです。そして、お品書きを添えて写真を撮るのが日課だと中尾さんからうかがいました。とてもうれしそうでした」

 同番組が終わっても、スタッフ陣、秋元アナ、久保との交流は続いていた。

「ご夫婦で熱海旅行に来られて、私と秋元アナが出演している番組『まるごと』をご覧になったようで、局に電話をかけてこられました。『まだ、やってんのか』とかおしゃって」

 久保が最後に中尾さんに会ったのは昨年4月だった。その際は健康体に見えたという。

「よく飲んで、食べて、よくしゃべるでした。なので、亡くなられたなんて、信じられなくて……。今はこれまでの感謝の思いでいっぱいです。心より、ご冥福をお祈りいたします」

 スタッフ、同局の関係者も久保と同じようにショックを受けているという。

 中尾さんの訃報はこの日午後2時頃、所属事務所の公式サイトで発表された。中尾さんは今年に入って足腰が悪く、体力も落ちていた。医師の訪問を受けながら、自宅でゆっくり休む日々。時には取材や足腰をかばっての仕事もしながら、今年12月に予定していた旅行に向けてリハビリに取り組んでいた。

 だが、今月15日に容態が急変。16日の夜中に自宅で亡くなったという。その経緯を明かした池波は、中尾さんの最期を「私と二人の時に、とても穏やかに本当に眠るように息を引き取りました。あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃〜と呼ばれそうな気がします」と振り返り、「叶いますならば、中尾彬らしいね〜と笑って送ってあげてくだされば幸いです。長い間、本当にありがとうございました」とコメントしている。ENCOUNT編集部