エンジン編集部唯一の20代ムラヤマが担当する連載『若者だってクルマ好き!』。今回は、初めて乗った友人のユーノス・ロードスターの虜になり中古車を探し続けること2年、文句なしの1台とめぐり会った坂詰宙世さんを取材した。


NA型ロードスターが欲しい!

神奈川県に住む23歳の大学3年生、坂詰宙世(そらつぐ)さんの愛車は、1991年型ユーノス・ロードスター(NA型)だ。

「去年の6月末に納車されました。ずっとロードスターが欲しかったんです!」



そのきっかけは3年前の9月に遡る。

「中学時代から仲良くしている友達と、彼のNA型ロードスターで九州まで自走で旅行に行ったんです。僕にとっては、それが教習所以来、初めてのMT車。これが楽しくて仕方なくて。それから何回もそのロードスターを借りて、数千キロは走りました(笑)。でもやっぱり、自分のが欲しい」

そこには坂詰さんなりのこだわりがあった。

「丸っこいデザイン、そして丸目のヘッドライトのクルマが好きなんです。だから、ロードスターを買うならNA型、それも、ボディが真っ黄色の限定車“Jリミテッド”と決めていました。でもJリミは個体が少ないし、何より僕が探し始めたときには、状態が良いのは高くて……」

「前のオーナーと繋がることができて、今では毎日のように連絡を取り合っているんですよ。今まで大事にされてきたことに本当に感謝しています」(坂詰さん)

そこで、坂詰さんは知人の紹介でアバルト595コンペティツィオーネを一昨年の5月に購入した。

「僕のクルマ好きの原点は父が乗っていたアルファ・ロメオ155Q4だから、イタリアの血も流れているんですよ(笑)。595は珍しい赤とグレーの2トーンで、普段使いからサーキット、冬にはスキーにも行きました」

お父様はほかにも、トヨタMR2(AW11型)、カローラ・レビン(AE86型)などを愛するフリークだったそう。坂詰さんは純粋培養のクルマ好きなのである。

595に乗っている間もロードスター探しを欠かさなかった坂詰さんに、急に話が舞い込んできたのは去年の3月のこと。

「中古車販売をしている大学の先輩と焼肉に行ったとき、『NAロードスターを買取りしたけど、これ、買わん?』と言われて。見せてもらうと状態がものすごく良くて、Jリミではなかったけれど、タン革×グリーン外装のVスペシャル。この組み合わせも大好きな仕様で、今は見た目で一番気に入ってる部分です(笑)。状態を考えれば、相場よりずっと安くしてもらえたので即決しました」


幸せで堪らない

待つこと3ヶ月。坂詰さんはついにロードスター・オーナーになった。購入時の走行距離は13万8千km。8ヶ月で9千kmを走った。

「“B6”エンジンのレスポンスが良いですね。ワイヤー・スロットルでダイレクトに操れるから、アクセルを踏んだときのエンジン回転のツキが最高です」

坂詰さんのロードスターは、直列4気筒DOHCの1.6リッターユニットを搭載する5段MTモデル。

基本的には購入時の状態を保っている。

「ガレージ・ベリー製のリップ・スポイラー、フロント・ストラットのタワーバー、マキシムのエキマニ、柿本のマフラー、これらは全部前のオーナーがつけていました。それに、ショップ・チューンのオーリンズ製車高調も入っていて、この脚がとても良い動きをするんですよ」

と、友達に愛車自慢をしているうちに、次々と“オーリンズ”脚にする仲間が増えたそうだ。

「ロードスターは、所有欲がすごく満たされるんです。飛ばさなくても十分楽しいし、屋根が開くってだけでもワクワクします。紅葉や桜の季節にオープンにして走るのが、本当に幸せで堪らない!」

さらに、ロードスターにはこんな魅力もあるという。

「ロードスターはNA型からND型まで、どの世代も愛されていて、どれも思い思いのカスタムが気軽にできるのが良いですよね。気がつけば僕の周りにも7人もロードスター乗りの友達がいるけれど、みんな違う。それを見て、話して、乗って楽しめるのはロードスターならではの魅力だと思います。あ、そうそう、ついに弟まで、ND型ロードスター乗りになっちゃいました(笑)」



取材日の3月10日朝、坂詰さんは代官山蔦屋書店が主催する月例のテーマ別オーナーズ・ミーティング『モーニングクルーズ』に参加。この日のテーマは偶然にも「ユーノス・ロードスター」だった。会場に並んだ個性豊かなロードスターを眺めて、他の参加者との交流を楽しんでいた。

最後に、坂詰さんの今後のカスタム計画を聞いた。

「ホイールは、今のBBSも良いけれど、エンケイのRPF1も履いてみたいな。それにメーター・パネルをヴィンテージ調のものに替えたいです。でもそれは最後かなぁ」

坂詰さん、今度私のNB型と一緒に、ツーリングに行きましょうね!

文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正



(ENGINE2024年5月号)