BYDとしてはATTO3に続いて2車種目の日本展開となったドルフィンに乗った生方聡さん、吉田由美さんの本音やいかに? 今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗!


「背中を押してくれる」生方聡

私がいま一番元気な自動車ブランドと思うのがBYD。コンパクトSUVタイプのEVであるATTO3が上陸するや、イベントに積極的に出展したり、気がつけば近所に正規ディーラーができていたりと、その勢いとスピード感には驚くばかりである。

日本上陸第2弾となるドルフィンに乗るのはこの日が初めてで、どんな走りを見せてくれるのか興味津々。ATTO3を初試乗したときもそうだったが、いつも以上に好奇心が高まる状況は、試乗を生業とする私にとって、ある意味元気をもらう貴重な時間である。

ドルフィンは2グレード構成。今尾氏、武田氏、吉田氏は上級版の「ロングレンジ」、九島氏、生方氏は標準車に試乗した。 グレードによる違いはバッテリー容量、モーター出力のほか、リア・サスペンション形式が標準車はトーションビーム、ロングレンジはマルチリンクとなる。インパネのセンター・ディスプレイは向きを回転することができる。

ドルフィンは、全高こそすこし高めだが、ハッチバック・スタイルは私の好み。

インテリアはATTO3に比べておとなしい印象で、むしろこのほうが落ち着く感じがする。

今回はバッテリー搭載量44.9kWh、モーター出力70kWと控えめなエントリー・グレードをドライブしたが、EVらしいスムーズで力強い加速は十分楽しめた。これで363万円、補助金をもらえば300万円を切るプライスは、これからEVを始めたい人の背中を押してくれるはずだ。日本のEVマーケットにも元気をくれる一台である。




「ナチュラルなお味」吉田由美

「エンジン」誌の読者は、スポーツカー、エンジン車好きが多いイメージですが、電動車への興味も増えているように思います。今年の試乗会では朝イチでEPC会員と同乗で、会員の方は中国車もBYDもドルフィンも初めてとのこと。

まずは車外をぐるりと回りながら一緒に車両チェック。助手席にBYDの資料が置かれていたため後席に座っていただき、電気自動車の話やドルフィン、BYDの話をしつつ、西湘バイパスを駆け抜け、急こう配の箱根ターンパイクへ。ドルフィンは坂道が得意なBEV(電気自動車)なので、ストレス無くぐいぐい上っています。

ドルフィンの車名にもなっているようにイルカの鰭をモチーフにしたインナー・ドア・ハンドルやダッシュボードなどの質感、そして回転するセンター・ディスプレイのアイデアに感心しつつ、静かな車内は前後での会話も快適。奥様の愛車としてBEVを検討中という話を聞き、実際にBEVの世界が広がっていることを実感したり、情報交換の時間として、私にとっても貴重なひととき。

というわけで、ドルフィンは想像以上にナチュラルなお味でした。

ドルフィンはBYDとしてはATTO3に続いて2車種目の日本展開となる。グレードは標準車と「ロングレンジ」の2種類で、どちらも前輪を駆動する。それぞれ44.9/58.576kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は400/476kmである。CHAdeMO規格に対応し、90kWの急速充電も可能だ。全長×全幅×全高=4290×1770×1550mm、ホイールベース=2700mm。車重=1520/1680kg、車両価格=363/407万円。

写真=小林俊樹(メイン)/郡大二郎(サブ)

(ENGINE2024年4月号)