厚生年金の支払期間が短いケースや、国民年金のみに加入していた場合、「見込み年金額が月7万円になってしまう」ということは十分ありえます。ただ、総務省が公表している「家計調査」によれば、標準的な65歳夫婦の1ヶ月の生活費総額は約25万円です。   月7万円の年金では、老後の生活資金としては心もとないため、パートをして収入を補いたいと考えるのは自然なことでしょう。   今回は、60歳で定年退職した後、パートで月に10万円ずつ10年間収入を得た場合、どの程度、年金額を増やせるのかについて解説します。

定年から10年間働いた場合の年金の金額

原則70歳までであれば「厚生年金」に加入し続けながら働くことができます。「厚生年金」とは、国民年金に上乗せする形で存在しており、「厚生年金」の保険料を納めることで、「国民年金保険料」を含めて納付したことになります。
 
60歳の定年後も、給与月額が8万8000円以上、1週間の所定労働時間が20時間以上といった要件を満たすと、厚生年金に加入します。原則65歳から受給できる「老齢厚生年金」の計算式は次のとおりです。
 
・老齢厚生年金(年額)=平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金加入月数
※「平均標準報酬額」とは、「被保険者であった期間の標準報酬月額と標準賞与の合計」を「被保険者であった期間の月数」で割ったものです。
 
例えば60歳から10年間、毎月10万円の収入を得続けた場合、次の計算のように年額「6万5772円」の老齢厚生年金が増える形になります。1ヶ月で5481円です。
 
6万5772円(年額)=10万円×5.481/1000×120月(ヶ月)
 
もともと見込み年金額が月7万円なので、プラス5481円すると月額「7万5481円」となります。
 

定年後も働くことでメリットは多い

また年金が増えるだけではなく、定年後も働くことで得られるメリットは多いです。例えば「健康的な生活がしやすくなる」ことや、「生活にハリが生まれる」ことが挙げられます。
 
もちろん、無理のない範囲にはなりますが、やりたいことを見つけて働き続けることは多くの価値をもたらすでしょう。
 

健康寿命の延伸が期待できる

定年後も働くことで適度に身体を動かせるため、筋力の維持も期待でき、ロコモティブシンドローム対策にもなるでしょう。仕事内容にもよりますが、あまりにも過酷な仕事でなければ、健康的な生活を送りやすくなります。
 
仕事で感じるストレスに関しても、まったくない状態より、適度にあったほうが「身体に良い」とも言われています。お金のことだけではなく、健康的な生活を送るためにも長く働くことは効果的です。
 

生活にハリが出る

定年後も働き続けることで生活に「メリハリ」をつけやすくなります。人は「やってもやらなくても良いこと」を、後回しにしがちです。定年後に、「やることがない」状態が続くと生活スタイルが崩れてしまうことも多いといわれています。
 
人から必要とされる喜びや、若い人を支援することがやりがいにつながり、第二の人生を充実させてくれることもあるでしょう。身体に無理なく働き続けることには、そうしたメリットもあります。
 

まとめ

退職してからも厚生年金に加入して働き続けることで、年金受給額を上げることができます。今回のケースの場合、見込み年金額は7万円ほどでしたが、厚生年金の加入期間・属性・年齢など条件によって金額はさまざまです。
 
自分の年金額が気になる方は日本年金機構の公式サイト「公式年金シミュレーター」で計算してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー