家電量販店で電化製品を購入する際によく見られる「価格交渉」の光景。少しでも安く購入するためによく交渉している人がいる一方で、「正直みっともない」「厚かましさを感じてしまう」と感じる人もいるのではないでしょうか。   本記事では、家電量販店での値切り交渉について「恥ずかしいことなのか」「気持ちよく買い物するためにはどうしたらよいか」を解説します。値切り行為に疑問を抱いている人は、ぜひ参考にしてください。

「値引き交渉」は恥ずかしい?

値引き交渉は、恥ずかしいものとはいいきれません。
 
最近では家電量販店だけでなく、フリマアプリでも「値下げ交渉」として価格の交渉が頻繁に行われています。商品をより安く購入するためのテクニックとして、多くの人が実践しているようです。
 
経済産業省の「消費者WEBアンケート調査」では、調査対象者500名のうち55.2%の人が、白物家電を購入する店舗を選択するときに価格を重要視しているとなっています。
 
値引き交渉はお客側の一方的な都合だけでは成立しません。お客側の「商品を買いたい」という意志とお店側の「商品を買ってもらい売上を伸ばしたい」という意図が一致することで初めて成立します。あくまで両者の思惑の一致を目指して行うものであり、決して不当なものではないのです。
 
値引き交渉が恥ずかしいと思うのは「お客の都合」だけが見えているためです。お店側にも「商品を買わせたい意図」があることを知れば、恥ずかしいものとはいえないでしょう。
 

過剰な交渉や高圧的な態度はよくない

値引き交渉は一種の「文化」として広まっています。しかし、やり取りするのは人間同士ですから、過剰な交渉をしたり高圧的な態度で臨んだりするのは、よいものとはいえません。
 
例えば「1万円の商品を4000円まで値下げしてほしい」「値下げしないと悪評をネットで書き込む」といった態度の交渉はよくないものです。お店としては営業利益を上げなければなりません。
 
販売価格を半分以下にして利益が出ることはないでしょう。また、交渉に応じるのは店員さんです。お客側の一方的な都合ばかり押し付けていては、店員さんも不快感を示してしまいます。
 
最悪の場合、警察沙汰やカスタマーハラスメントといったトラブルになる可能性もあります。モラルを守った値引き交渉が重要です。
 

気持ちよく買い物するには

お客も店員も気持ちよく買い物するには、節度ある交渉の仕方が重要です。例えば、いきなりお客が「この商品を値下げしてほしい」というと、店員さんは「なぜか?」「何か理由があるのか?」と不信感を募らせてしまいます。議論が互いに平行線をたどってしまうと、お客もお店も得しません。
 
一方「他社ではこの価格を提示された」や「買いたいのだが予算を少し超えてしまいそう」といった明確な理由を持って店員さんに相談すると、お店側も「この人なら商品を買ってくれそう」と考え柔軟に応じてくれる場合があります。いきなり交渉を始めるのではなく、あくまで簡単な相談として会話を始めることで、お客とお店の双方が納得のうえで商品の購入ができるでしょう。
 
しかし、お店側も仕事ですから、お客の相談事をすべて聞き入れることはできません。時には譲歩することも重要です。
 

値引き交渉の「恥ずかしさ」ではなく「やりくり上手な点」に目を向けて

値引き交渉が「恥ずかしい」と感じる人は、捉え方を変えてみましょう。
 
例えば、交渉がうまくいくことで家計の負担は幾分減ります。また、店員さんと信頼関係を築ければ、次回の電化製品購入でも価格の相談や商品の選び方を聞きやすくなるでしょう。「やりくり上手」になれれば、値引き交渉も決して悪いものとはいいきれません。
 
とはいえ、無謀な交渉や高圧的な態度は厳禁です。「どうしても自分には交渉ができない」というのであれば、ネットストアなどより安いものが多い店舗で購入するのも1つの手です。
 
値引き交渉がなくとも「よい買い物をした」と思えるのであれば、じゅうぶん満足いくショッピングができているといえるでしょう。
 

出典

経済産業省 消費者WEBアンケート調査
 
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP