ずっと専業主婦だった方の場合、厚生年金保険に未加入なので、受給できる年金額は厚生年金に加入している夫よりも少なくなります。 もし夫婦で月に20万円の年金を受け取りたいなら、老齢基礎年金で足りない分を夫の老齢厚生年金で補わなければなりません。   今回は、専業主婦が受け取れる年金や、夫婦で月に20万円の年金を受け取るために必要な夫の年収などについてご紹介します。

専業主婦が受け取れる年金

専業主婦が受け取れる年金は、基本的に老齢基礎年金のみです。
 
もともと、夫が会社員の専業主婦は国民年金のなかでも「第3号被保険者」に分類されます。
第3号被保険者の方は、厚生年金保険に加入している方に扶養されており、自分で年金保険料を支払う必要がありません。
 
ただし、あくまで厚生年金保険に加入しているのは専業主婦を扶養している夫なので、専業主婦は老齢厚生年金の対象外です。
 
もし専業主婦の方が20歳から欠かさず年金を納めていた場合は、令和6年度時点で年金を81万6000円、月に6万8000円を受け取れます。
 

夫婦で毎月年金を20万円受け取るために必要な夫の年収は?

今回計算するにあたって、条件は以下の通りです。

●大学生の期間も含めて夫婦ともに国民年金を欠かさず納めている
●老齢基礎年金の金額は令和6年度の金額とする
●夫の厚生年金保険への加入は平成15年4月よりもあと
●老齢厚生年金額は報酬比例部分と同額とする
●厚生年金保険への加入期間は22〜65歳の43年間

もし夫婦ともに国民年金を欠かさず納めていれば、老齢基礎年金を月に6万8000円ずつ、夫婦の合計金額で毎月13万6000円を受け取れることになります。
つまり、毎月20万円の年金を夫婦で受け取るためには、夫の老齢厚生年金の受給額は残りの6万4000円、年間76万8000円が必要です。
 
老齢厚生年金の金額は、報酬比例部分により求められます。
今回の条件の場合、計算式は以下の通りです。
 
・報酬比例部分=平均標準報酬額×0.005481×厚生年金保険の加入月数
 
平均標準報酬額は、月収を基に決められる毎月の標準報酬月額と賞与を基に決められる標準賞与額の総額を、加入月数で割った値を指します。
つまり、平均標準報酬額が分かれば、年間賞与も含んではいますがおおよそ必要な月収に近い数字が算出できます。
 
今回の例だと、計算式は「76万8000円=平均標準報酬額×0.005481×516ヶ月(43年)」となります。
 
計算すると、平均標準報酬額は約27万1551円、年間に換算すると、月に年金を20万円受け取るために必要な年収目安は約325万8612円です。
 

年金額が少なければ繰下げ受給の利用も検討してみる

もし年金額に不安を覚えるなら、繰下げ受給の活用も年金額を増やせる方法のひとつです。
 
繰下げ受給では、年金を受け取るタイミングを遅らせた月数に応じて0.7%ずつ増加した金額を受給できます。
 
最大で75歳までタイミングを遅らせられるので、老後のライフプランも考えたうえで活用しましょう。
 

夫婦で毎月合計20万円の年金を受け取るためには夫の年収が約326万円必要

専業主婦の場合、あくまで厚生年金保険に加入している方に扶養されている形であって、厚生年金保険には加入していません。
そのため、将来受給できる年金も国民年金を納めたことにより受け取れる老齢基礎年金のみです。
 
夫婦で毎月20万円を受け取るためには、夫の加入している厚生年金によって残りの金額を補う必要があります。
今回のケースだと、夫に約326万円の平均年収が必要です。
 
受給できる年金額が少ないと感じる場合は、繰下げ受給などの制度を利用して増やす方法もあります。
夫婦で相談して制度を活用するのか決めておきましょう。
 

出典

日本年金機構 年金用語集 た行 第3号被保険者
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰上げ・繰下げ受給 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー