将来年金をいくら受け取れるかは、多くの人にとって気になるところでしょう。専業主婦や自営業の人でも、国民年金保険料を納付していれば老齢基礎年金を受け取れます。また、会社員の期間があり、要件を満たす人は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取ることができます。   そこで本記事では、22歳から32歳までの10年間会社員として働き、専業主婦になった人を例に、受け取れる年金額がいくらになるのかについて解説していきます。

老齢基礎年金は満額で約81万円

会社員だった人が受け取れる年金としては、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類が挙げられます。それぞれ要件を満たすことで、65歳から受け取ることが可能です。
 
老齢基礎年金の要件は、「受給資格期間が10年以上あること」となっています。受給資格期間は国民年金保険料の納付期間と保険料の免除期間の合計です。
20歳から60歳までの間に国民年金保険料を満額納付した場合は、老齢基礎年金を満額受け取れます。満額受給の場合、令和6年度においては年間81万6000円を受給することができます。
 

老齢厚生年金は加入期間や報酬額によって金額が変動

老齢厚生年金は「老齢基礎年金の受給資格がある人が厚生年金保険に加入していること」が受給要件となっています。つまり、老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上ない人は老齢厚生年金を受給できません。
また、働いていていたとしても、厚生年金保険に加入していない場合は要件を満たさないので注意してください。
 
老齢厚生年金は報酬比例部分、経過的加算、加給年金によって構成されており、加入期間や報酬額によって受給額が変わります。報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間の月数」によって算出されます。
 

平均年収400万円で10年間働いた場合の年金額は?

それでは、22歳から32歳までの10年間を平均年収400万円で働いた専業主婦が受け取れる年金額が月額でいくらになるのかを計算していきます。
まず、令和6年4月の老齢基礎年金の年金額は、満額で年間81万6000円です。月に6万8000円を受け取ることができます。
 
そして、老齢厚生年金は報酬比例部分が「平均標準報酬額33万3333円×5.481÷1000×120ヶ月」となるので、年額21万9239円を受け取ることができます。月額にすると1万8269円です。
 
老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせると、月に受け取れる年金額は、老齢基礎年金が月6万8000円、老齢厚生年金が月1万8269円となるので8万6269円です。
 

本事例では月に10万円の年金を受け取れない

22歳から32歳までの10年間を平均年収400万円で働いた専業主婦が受け取れる年金額は月10万円に満たないことが分かりました。年金額を増やす方法としては、厚生年金保険に加入して働くことや、年金の繰下げ受給制度を利用することが挙げられます。
 
厚生年金保険に加入している会社で働くことで、報酬比例部分の加入期間と報酬額を増やすことができるので年金額を増やすことが可能です。しかし、厚生年金保険の保険料の負担が発生する点には注意が必要です。
 
また、年金の繰下げ受給制度を利用することで年金額を増やすこともできます。繰下げ受給は、原則65歳である年金の受給を65歳以降に遅らせることで年金額を増やす制度です。年金額が増えるというメリットの一方、受給が遅れることのデメリットも理解し、興味のある人は検討してみてください。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー