新卒として新たに就職する際、または転職する際に生まれ育った故郷に戻る「Uターン就職者」は少なくありません。   そんな中、「地元に戻りたい気持ちはあるけど年収が下がらないか気になる」と不安な人もいることでしょう。   本記事では、独立行政法人労働政策研究・研修機構の「UIJターンの促進・支援と地方の活性化−若年期の地域移動に関する調査結果−」を基に、Uターン就職の概要、およびUターン就職にともない年収が下がる人の割合はどれくらいなのかを解説します。

Uターン就職とは

「Uターン」とは、生まれ育った故郷から進学・就職を機に都会へ移住した後、再び生まれ育った故郷に移住することを指すようです。また「Uターン就職」とは、Uターンのうち出身地で就職することを指します。
 
なおUターンと似た言葉に「Jターン」があります。Jターンは、故郷から進学・就職を機に都会へ移住した後、故郷に近い地方都市に移住することです。
 
出身県にUターンした人を対象にした調査によると、地方出身者がUターンをしたきっかけの1〜5位は表1の通りです。
 
表1

きっかけ 全体に対する割合(%)
就職 30.4
仕事を辞めた 19.0
転職 16.0
学校卒業 9.6
親との同居 8.0

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「UIJターンの促進・支援と地方の活性化−若年期の地域移動に関する調査結果−」を基に筆者作成
 
就職目的でUターンをした人が30.4%と最も多くいました。また転職もきっかけの3位にランクインしており、就職がUターンの主要な理由であるといえます。
 

Uターン就職で収入が減った割合

都会で一度は就職し、後にUターン就職で地元の企業に転職した場合、年収は減ってしまうでしょうか。Uターン就職(転職)による収入の変化は表2の通りです。
 
表2

収入の変化 全体に対する割合(%)
増えた 23.8
変わらない 23.8
減った 52.3

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「UIJターンの促進・支援と地方の活性化−若年期の地域移動に関する調査結果−」を基に筆者作成
 
過半数の回答者が「減った」と答えました。この結果から、Uターン就職により年収が変わる可能性は低くないといえます。
 
ただし「増えた」「変わらない」と回答した人も4人に一人程度いるため、人により状況は変わりそうです。
 

「生活面の満足度」はプラスになっている

年収が下がってしまう可能性があるとはいえ、Uターン就職には積極的な面も見られるようです。
 
Uターン就職で転職した人の中で、「生活面の満足度」が増えたと回答した人は、全体の44.3%いました。一方「減った」と回答した人は21.7%にとどまります。また「余暇の時間」が増えたと回答した人が47.7%、「家族で夕飯を食べる頻度」が増えたと答えた人が53.2%いました。
 
このようにUターン就職は、満足感やプライベート時間確保などの面で、人によってはプラスに働くことがあるようです。
 

Uターン就職で年収が下がった割合は52.3%……。ただしプラスの要素もあり

Uターン就職で故郷に戻った場合、年収が下がる可能性は低くないようです。その一方で、故郷に戻った場合に生活満足度が上がる可能性もあります。Uターンすべきかどうか決めるときは、年収だけでなく生活面の変化を総合的に考慮するといいかもしません。
 

出典

独立行政法人労働政策研究・研修機構 UIJターンの促進・支援と地方の活性化−若年期の地域移動に関する調査結果−(3.17.28ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー