県内の65歳以上の高齢者が2024〜26年度に支払う介護保険料の基準月額の平均は全国を上回る6340円となり、前期(21〜23年度)に比べて232円(3.8%)増加したことが、厚生労働省が14日公表した集計で明らかになった。高齢者の増加などを背景に県内市町村では保険料の上昇傾向が続き過去最高を更新、県内59市町村のうち半数近い26市町村が月額を引き上げた。
 65歳以上の介護保険料は市区町村や広域連合ごとに決まり、3年に1度見直される。引き下げは12市町村で、21市町村は据え置いた。全国平均は6225円で前期から211円上昇した。
 県内で最も高かったのは三島町の7700円。前期から300円の引き下げとなったが、町の担当者は「高齢者人口は減少したが、高齢化率などから将来を見据えて高額となっている」とする。7100円の鮫川村は前期から24・6%増となり、上昇率が最も高かった。村は「前回の改定時に必要な保険料を増額できなかったなどの影響が出た。適切な介護サービス運営には必要な金額だ」と説明する。
 13市では9市が引き上げる一方、本宮市は唯一引き下げた。市は「介護予防事業の取り組みなどで要介護認定者数が減った。物価高騰の影響も考慮し、市民の負担軽減を図っている」とした。
 東京電力福島第1原発事故で被災した双葉郡8町村では、浪江町を除く7町村が減額となった。介護施設の費用が想定を下回ったり、高齢者数が減ったりしたことなどが要因。双葉郡では、原発事故の避難者らを対象に介護保険料の減免措置が行われており、避難指示解除から10年程度で特例措置が終了する。本年度以降、広野町などで介護保険料の全額徴収が再開する。住民の負担軽減のため、介護給付費準備基金を活用して激変緩和を図っている町村もある。
 県は、介護報酬の改善を考慮するなどして各市町村が状況を踏まえて算定した改定額だとし、引き上げについては介護サービスの提供体制を維持するための判断だと推測する。少子高齢化の影響で今後も介護保険料の引き上げが続くことが想定されるとしており、県は「介護保険料額の適正な設定につながるよう、研修会などで支援する」(高齢福祉課)としている。