これは私が普段よく利用している、食品スーパーで起こった出来事です。今や当たり前になりつつある「セルフレジ」が導入されたはいいけれど、それはとても「便利になった」とは言えない状況で……? 何があったのか私の体験談をご紹介します。

人手が足りない田舎のスーパーがセルフレジを設置

私は、車がないと生活できないような田舎町に住んでいる主婦です。

地域唯一のスーパーは、若い人がいないため常に人手不足。スーパーの店員さんはいつも忙しそうに動き回っていました。

私は「田舎だからお客さんも少ないし、なんとか回っているのかな?」と呑気に考えていたのですが、実はそのスーパーの人手不足は、想像以上に深刻だった模様。

ある日突然、「人員不足のため、セルフレジを導入しました」という貼り紙と共に、ほとんどのレジがセルフレジに変わってしまったのです。

「セルフレジにするのはいいけど、いきなり大量に変えちゃって大丈夫なのかな……?」そんな私の心配は的中してしまいます。

IT化に戸惑う高齢者たち。お店はパニック状態

それからというもの、スーパーの雰囲気は一変しました。

田園風景が広がるような田舎町なので、お客さんの大半はITシステムに慣れていない高齢者です。そのため、それまで閑散としていたレジ付近には長蛇の列ができるように。

客「おい、全然進んでないけど、いつになったら会計できるんだ!?」
客「使い方がよくわからないから、前みたいに店員さんが会計しておくれよ!」

進まないレジ待ちの列にイライラする客や、セルフレジが操作できない高齢者たちの怒号が、毎日飛ぶようになってしまいました。

また、セルフレジで商品のスキャンがうまくできず、購入した商品の会計をしないまま帰ってしまうケースも多かったようです。

2週間後にスーパーを訪れると、セルフレジは全体の半分くらいに減っていました。

半分を以前のように店員が会計する有人のレジに戻すことで、スーパーの混乱は無事におさまり、落ち着きを取り戻すことができました。

最後に

人手不足解消や利便性のために、新しいシステムを取り入れるのは大事なことです。しかし状況によっては、段階を踏まないと混乱を招き失敗してしまうということが、よくわかる出来事でした。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Hinano.N