環境省のレッドリストで「絶滅危惧ⅠB類(近い将来に野生での絶滅の危険性が高い)」に指定されている大型の淡水二枚貝「カラスガイ」の生体がこのほど、福井県嶺北地方のダム湖で発見された。福井県のレッドデータブック(RDB)などによると、近年の県内での生息確認は三方湖(若狭町)の1例だけで、嶺北の記録は過去にさかのぼってもごくわずか。殻長34センチで30年以上生きているとみられ、5月10日ごろまで福井市自然史博物館で展示されている。

 同博物館などによると、カラスガイはイシガイ科イシガイ目で、世界最大級の淡水貝類。国内では本州から北海道の日本海側と東北北部に生息する。福井県のRDBでは、県域で最も絶滅の恐れが高い種の一つに指定されている。

 県内では三方五湖やあわら市などに生息していたとされるが、1985年以降は2010年代に三方湖のエビ漁で確認されただけという。

 今年3月下旬にダム湖で生き物観察をしていた男性が発見し、同博物館に持ち込んだ。当時勤務していた「NPO法人中池見ねっと」(敦賀市)の藤野勇馬理事は「カラスガイの中でも最大級の大きさで、在来の個体であれば学術的にも貴重な発見」と話す。生体展示後、標本にしてDNAを調べる予定。