感染力の強いはしか(麻疹)の感染者の報告が、今年に入ってから国内で相次いでいる。海外渡航者が中心で福井県内での発生はないが、抗体の無い人が感染するとほぼ100%発症し、重篤な合併症を引き起こし命に関わる場合もある。免疫があれば発症することはないため、福井県立病院の医師は「ワクチンが唯一の予防法」と接種を勧める。

■感染力はコロナの6倍

 はしかはウイルス性の感染症で、感染経路は空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染。感染症内科主任医長の小嶋徹医師によると、感染者1人から平均何人にうつるかを示す「基本再生産数」は新型コロナウイルス感染症が2〜3人なのに対し、はしかは約6倍の12〜18人と、非常に感染力が高い。国立感染症研究所のデータによると、今年に入ってから全国で21人が感染した(5月15日現在)。福井県内では2018年を最後に感染報告はない。

 小児科主任医長の谷口義弘医師によると、ウイルスに感染してから10〜12日間の潜伏期を経て、まず発熱やせき、鼻水、目の充血といった症状が現れる。かぜの症状と区別がつかないため、「感染者との接触歴や流行地域を訪れていたなどの情報がないと、はしかと診断するのは難しい」と谷口医師。発熱3日目ごろには、口の中にブツブツ(コプリック斑)が一時的に現れ、一端解熱するがすぐに39度以上の高熱が出る。さらに発疹が耳の後ろや顔面に現れ、全身へ広がっていく。コプリック斑と熱が下がって再び上がるのは、はしかの特徴的な症状だ。合併症がなければ4〜5日で熱が下がり症状は改善していく。