株式投資をする際には、「いつ・いくら買うか・売るか」といったこと決断をしなくてはなりません。正しい決断をして儲けを得たいと思うのは誰でも同じですが、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏は「株式投資に100%正しい決断はない」といいます。その理由について解説します。

決断のための判断材料が多すぎる

株式投資では、何らかの決断をする際の判断材料が多すぎるため、100%正しい決断などありえない、といえます。私たち投資家は、買うか否か、売るか否か、売買価格はいくらか、売買量は何株か、といったことを決断しなければいけません。

そしてそのために、PER、PBR、配当利回り、過去の業績、未来の予想、ビジネスモデル、市場の環境、自分の資金やポートフォリオのバランス、といった本当に多くのことを判断材料として決断を下します。しかし、そんな判断材料が多すぎるため、100%正しい決断などできないというのが、現実ではないでしょうか。

例を挙げてみます。ある指標で見ると、A社の株は「買い」だとします。しかし別の指標で見ると、買うのは危険かもしれません。また、買うとしても、ある指標では1,000円以下で買うのが安全だと考えられるけど、別の指標では800円以下で買わないと危険だと考えられるかもしれません。このように、決断のための判断材料は、あまりにも多いのです。

過去を単純に参考とすることができない

そして、過去を単純に参考とすることができない、という点も100%正しい決断などありえないことの理由となります。常に状況は変化しており、一度訪れた状況が二度と訪れないのが、株式市場なのです。

「こういうとき、こういう銘柄は上がる(下がる)」「こういうとき、株式市場全体は上がる(下がる)」といった経験則をお持ちの方もいるかもしれませんが、それは常に再現されるわけではなく、あくまで「そうなる可能性が高い」という話でしょう。また、「いつ」そうなるかは、誰にも予測できないでしょう。

ゆえに、過去にある方法でうまくいったからといって、それが「今、この状況」で同じように通じるかどうかも、不確実となります。前より利益が少なくなるかもしれませんし、損失を被るかもしれません。または、前より大幅に大きな利益を得るかもしれません。過去を単純に参考とすることができず、明確にパターン化できる「必勝法」などないのが、株式投資なのです。

他者の決断が株価を動かしている

そもそも、他者の決断が株価を動かしているのであり、それもまた100%正しい決断などありえないことの理由となります。株価は需要と供給で決まります。買い手が多ければ価格が上がりますし、売り手が多ければ価格が下がります。そして買うか売るかは、各投資家が、前述のように多くの判断材料から自らの信じる決断をした結果です。みんながそれを正しいと思っていますが、それは絶対的・客観的・普遍的に正しいことでもないのです。

したがって、他者の決断によって変動している株価を100%正しく予測することなど不可能だ、ということになるでしょう。仮に、自分が100%正しい決断をしたとしても、多くの人が間違えた決断をすれば、株価は自分の思うようには動かないのですから。バブルが起きたり弾けたり、長年異常に割安で放置されている優良株があったり、将来への期待で異常に割高になっている成長株があったり、ある意味「よくわからない」のが株式市場なのです。

よって株式投資では、ミスをするのは避けられない、といえます。ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスなど、有名で優秀な投資家でも、ミスをして、それをミスだったと正直に述べることがあるのですから。「100%正しい決断」などありえず、「確率の高い決断」を続けていくことが、株式投資で勝ち続ける唯一の道ではないでしょうか。

「100%正しい決断」は諦め、「確率の高い決断」を続ければよい

株式投資では、何らかの決断をする際の判断材料が多すぎるため、100%正しい決断などありえない、といえます。そして、過去を単純に参考とすることができない、という点も100%正しい決断などありえないことの理由となります。そもそも、他者の決断が株価を動かしているのであり、それもまた100%正しい決断などありえないことの理由となります。

よって株式投資では、ミスをするのは避けられない、といえます。「100%正しい決断」などありえず、「確率の高い決断」を続けていくことが、株式投資で勝ち続ける唯一の道ではないでしょうか。

川合 一啓 株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

著者:川合 一啓