お手軽なのに高性能。

本日5月23日、パナソニックからミラーレス一眼の新製品「LUMIX S9」が発表されました。LUMIX S9のターゲットは「一眼デジカメを初めて購入するユーザー」と「カメラ・写真が趣味の人たち」。一見すると相反するターゲットですが、どんな仕上がりになっているのでしょうか。

現物を触ってきたので、主に写真撮影にフォーカスしたレポートをお届けします。久しぶりにいいデジカメに出会えたかも。

クラシカルでシンプルなデザインがライカっぽい

本体色はブラックとシルバー。有料のエクステリア張り替えサービスでダークオリーブ、クリムゾンレッド、ナイトブルーに張り替えが可能。

LUMIX S9は、パナソニック初のフラットデザインを採用したフルサイズミラーレス一眼です。約2420万画素のフルサイズCMOSセンサーが搭載されているとは思えないほど、小さくて軽いボディ。本体のみの重量は約403g。本体を手に取ると、想像よりも軽くて軽く脳がバグります。

本体上部。天板の角が丸くなっている。

一見クラシカルですが、ボディの角が丸くなっていたり、ダイヤル類が少なめでシンプルな天板になっていたりして、カメラ初心者でも扱いやすくなっています。個人的に、ライカっぽいデザインだと思いました。

背面。大きめのサムレスト、AFONボタンやLUTボタンある。

EVFはなく、背面液晶のみで撮影するスタイル。背面液晶はバリアングルとなっており、ハイアングルやローアングルでの撮影や自撮りで活躍します。

自撮りもできる。

この液晶、かなりきれいでした。なんか自分の写真の腕が上がったような錯覚を起こします。

右手親指を置くスペース(サムレスト)も大きめに取られており、握ったときの安定感は結構ありますね。手のひらにすっぽり収まるほど小さいというわけではないので、ホールド感はしっかりあります。

左側面にマイク端子がある。バリアングル液晶に干渉しない位置。 右側面にはHDMI端子とUSB-C端子がある。

説明書など見ずにいきなり使ってみましたが、ほとんど操作に迷うことはありませんでした。見た目もクラシカルな雰囲気がありつつ、それほどゴテゴテとはしてなくて、ちょうどいい感じ。

さっそく実写!

待ちきれないので、さっそく実写しました。どぞ!

約2420万画素のCMOSセンサーに、新世代ヴィーナスエンジンを搭載。この組み合わせがなんだかすごい。感覚的な言葉で言えば「官能的」な描写とでもいいましょうか。あまり誇張されていないけれど、印象に残る感じの絵作りですね。

像面位相差AFの採用で、被写体への追従性能がアップしているということですが、確かにパパッとAFが合う印象です。約6.5段分のボディ内手ぶれ補正は、動画撮影時の手ぶれに絶大な効果がありますが、写真撮影時にも効果は実感できました。

ハイブリッドズームを使い180mm相当で撮影。

おもしろいなーと思ったのは、ハイブリッドズームという機能。LUMIX S9はクロップズームという機能があり、フルサイズCMOSセンサーの中心部のみを切り出すことで、画像の劣化なしに望遠撮影ができるというもの。それにレンズの光学ズームを組み合わせることで、シームレスに最大3倍まで望遠側の焦点距離を伸ばすことができます。

今回使用したレンズは「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」なのですが、ハイブリッドズームを使うことで、通常は20〜60mmの焦点距離が180mmまで拡張できるというわけ。これ、ほんとにシームレスで、画質の劣化もあまり感じません。最初「あれ? なんかこのレンズやけにズームできるな」と思ったら、この機能がオンになっていたんですね。いや、すごいっすよ、これ。標準ズームレンズで望遠域まで対応できるの、たいへんありがたい。

新アプリ「LUMIX Lab」が写真をもっと楽しくしてくれる

LUMIX S9発売時に同時に公開されるのが、新アプリの「LUMIX Lab」です。このアプリが、結構よかったんですよ。

一番驚いたのがペアリングの速さ。これまで、デジカメとスマホをWi-FiまたはBluetoothで接続しようとすると、結構面倒臭い上に時間がかかったんですが、LUMIX S9とLUMIX Labの接続は、あっという間。高画質の画像転送も(調子がよければ)ほんの一瞬。このスピード感、なかなかでしたよ。

スマホに取り込めるということは、SNSに投稿するのも簡単ということ。LUMIX S9の高画質写真を、手軽にSNSなどに投稿できれば、写真の楽しさがかなりアップします。

また、LUMIX Labでは。LUT(Lookup Table。映像や画像の色やトーンを変換するためのテーブル)の管理や作成が行えます。主に動画で使われるLUTですが、静止画にも適応可能。LUMIX S9では最大39個までLUTを保存することができ、LUMIX S9からLUTの追加や削除も行えます。

トーンカーブも使える。

このLUMIX Labでは、画像の編集や調整も可能。シンプルながら多機能で、LUMIX S9をフルに活用するためには欠かせないアプリです。

スタイルもいいけど、画質もいい。EVFはないけど…

カラーはシルバー/ブラックの2種がベース。有料の「張替えサービス」を利用すると、ダークオリーブ、クリムゾンレッド、ナイトブルーのレザーに交換できます。

今回ちょっとだけLUMIX S9を使ったんですが、操作性および画質、そしてスタイル。正直、普段使いのちょっといいカメラとしてめちゃくちゃ欲しくなりました。

軽くて小さくて、パパッと撮れるけど高画質。その上レンズ交換式カメラなので、豊富にあるLマウントレンズを使うことができます。ああ、沼が…。

ただひとつだけちょっと気にかかるところがあって。実はLUMIX S9、EVFがないんですよ…。まあ、ボディの小型化とか、スマホの普及による撮影スタイルの変化なんてものもあるので、そこはOK。

せめて外付けEVFがあればなーと、一縷の望みをかけてパナソニックの方にお話ししたら「ないんですよぉ」と申し訳なさそうに謝られてしまいました。いえいえ、そんなそんな。いいんですいいんです。これからは背面液晶で撮れるようにもなったほうがいいですもんね。はい。がんばります。

お値段が結構現実的。もうすぐ予約開始です

いやぁ、正直LUMIX S9は予想以上にいいカメラでした。これだけ機能モリモリで、その上デザインもシンプルかっこいい。これは結構お高いんだろうと覚悟していたんですが、メーカー発表の予想実勢価格は以下の通り。

ボディ単体 20万8000円前後

標準ズームレンズキット 248000円前後

高倍率ズームレンズキット 287000円前後

おお? 割と現実的な価格っぽい…。これは、これは買うかもしれない!!

LUMIX S 26mm F8。このレンズ、MFのみという潔さ。

予約開始は5月29日から。発売は6月20日の予定です。発売記念として、9月1日までにLUMIX S9を購入すると、Lマウントパンケーキレンズの新製品「LUMIX S 26mm F8」(3万1900円)がプレゼントされます。メーカー希望小売価格3万1900円のレンズが付いてくるので、かなりお得ですね。

ちょっと買うかどうか本気で悩んでます…。パナソニックには「ルミックス一眼カメラ定額利用サービス」というサービスがあるので、それを使うって手もあるな。うーん、欲しい!

Source: パナソニック