ワイパーモーター 脱着時にスピーカーがボロボロになっていたのを発見。どうやら音のビビリはエッジが切れていて、コーン紙が傾いてボイスコイルが当たっていると判断。普通なら高性能なものに交換したいが、ラジオを聴いている限り、この音の明瞭度はスピーカにあると判断して修復を試みた。30年も前の劣悪環境で使われたスピーカーは復活できるか!

■ Photo&Text Masahiro Kan 

実測よりもわずかに小さい値でコーン紙部分にうまく楕円が収まった。ここから11ミリのエッジと、内側のり代5ミリで作図完成。
SUBARU サンバー 2007年式LE-TV1
SUBARU サンバー 1995年式V-KV3

手に入らない素材は和紙を使って代用

まずはスピーカーを実測しながら独特な楕円形状をイラストレーターで起こし、カットアンドトライで実際のスピーカーに当てはめてみて数値を出した。

こんなサイズのウレタンやゴムエッジは発売されているわけもなく、またオークションでマトモだろうスピーカーも千円程度だから、修復にできるだけ金をかけず、ダメなら、何かに交換しちゃおうということで「和紙」を選択。

和紙は繊維が長く、屈曲に対する耐久性が高く、オーディオマニアでさえエッジ交換に使用するほどの定番アイテムである。

その昔はセーム革なども流行し、最近ではゴムエッジをイチから製作という猛者もいるが、なんと言っても和紙は安い。

エッジ部分の楕円形状が決まったので、和紙を一度揉みくちゃにしてから軽く伸ばし、コーン紙の部分をカットしてエッジになるようにする。

コーン紙のエッジに相当する部分をデザインナイフで切り取ってから、和紙をコーン紙の裏側に挿入して接着のり代を確認して、問題なければ本接着となる。

ここはタイトボンドを水で50%希釈して、面相筆を使ってコーン紙裏側と和紙に塗る。

水分を含んだ和紙はシワが伸ばせるほど伸縮性があるので、コーン紙にぴったり密着させることができる。概ね5ミリほど接着できれば問題ない。

この時は密着性を良くするために、スピーカーのセンターキャップを押してフレームとツライチになるように段ボールの小片を積み重ねたものを用意した。

スピーカーを伏せて放置・乾燥すると、和紙が伸びてうまく密着してくれる。

少し厚めの紙に印刷してデザインナイフで丁寧に切り取って行く。すべての作業はこの型紙がベースとなるので、数枚切り出しておく。

和紙は紙の繊維が長くて耐折強度に優れているのでエッジに最適。一度手もみでくしゃくしゃに揉んで繊維を柔らかくしてから使用。

型紙は切り抜いたらスピーカーに当ててみてエッジのどの部分をカットして行くかを決めていく。現物合わせは何度も行って確認。
型紙よりわずかに大きくカットした和紙の上からテープで2枚を固定して、センター部分から新品の刃を使ってデザインナイフで切る。
テープで押さえた外周を切ると、貼り込むための和紙ベースが完成する。くり抜いた内側の和紙が綺麗な切り口であることを確認。
型紙を再度当てて今度はスピーカーのエッジ部分をどこで切り取るかを確認して、目視によることでこの先の切り取り戦が見える。
コーン紙は経年劣化でかなり弱っているのだが、繊維質なので毛ばたちやすい。新品の刃で軽くなぞるようにカットしていく。
切り取ったエッジ部分の残骸がこれ。もともと合ったエッジの内周にある峰部分をカットした。外周はフレーム周りのノリを剥がす。
コーン紙はかなり弱っていることが判明した。水分で崩れそうだったので、事前にタイトボンドを水で希釈して筆で塗っておく。
貼り付けの準備ができたら、和紙エッジの貼り付け部分に面相筆を使って全周にタイトボンド希釈液を多めに塗っていよいよ接着作業。

https://www.goo-net.com/magazine/?p=227163
https://www.goo-net.com/magazine/?p=227180
https://www.goo-net.com/magazine/?p=227353
https://www.goo-net.com/magazine/?p=227364
https://www.goo-net.com/magazine/?p=227431
https://www.goo-net.com/magazine/?p=227442

[pit_call name=故障・修理 slug=repair]

著者:内外出版/オートメカニック