町田・黒田剛監督が25日、磐田戦(27日・ヤマハ)に向けた取材に応じ、“ロングスローの心得”を説いた。この日の非公開練習では、大きな武器としてJ1でも猛威をふるうロングスローからの攻撃を確認。ロングスローはゴール前に長身選手をターゲットマンとして置き、その高さを生かしてチャンスを生み出す。指揮官は「(ターゲットマンに)テーマはなにかわかるか? と聞くと、触ることです、フリックすることです、と言う。でも違うと。『何が何でも』触ることだと」と指導の一部を明かした。

 ロングスローと言ってもただ放り込んでいるだけではなく、そこにはポジションニングなどのディテールはある。しかし最後に違いを生み出すのは、肉弾戦でもある。「触れ、と『何が何でも触れ』はニュアンスが違う。思いを伝えるためには、ここで狙って、フリックして、と伝えるのではなく、『何が何でも触れ』と伝えた」という。

 ゴール前でターゲットマンが少しでも触れば、意思統一した他の選手達が一気になだれ込み、得点の確率は上がる。託した仕事の重要性を伝えるため、あえて『何が何でも』という言葉を使った。青森山田での教員時代から「自分だったらこう言われたら本気になる、という言葉がある。だから自分が言われたい言葉をチョイスするようにはしている」と、伝え方を工夫しているという。

 昨季J2で優勝を争った磐田を相手に、J1首位で迎える一戦。昨季はホームでは勝利したが、アウェーでは引き分け。「ジャーメイン選手(リーグトップの9ゴール)が手をつけられないぐらい得点を重ねているので、その対策をどうするかも含めた中で、自分たちの持ち味、町田らしさを出せれば」と黒田監督。ぶれない戦いで首位キープを狙う。