◆JERA セ・リーグ 巨人4―0DeNA(15日・福井)

 巨人が今季8度目の0封勝利でDeNAとの北陸シリーズに2連勝し、首位をキープした。先発の堀田賢慎投手(22)が6回2安打無失点の好投で3勝目。同郷の岩手出身で、同学年の西舘勇陽投手(22)も2番手で1回無失点の力投を見せた。打線は初回、坂本の適時打で先制し、7回には代打・丸の2号2ランで突き放した。巨人は福井で1985年から足かけ40年で5連勝。4カード連続勝ち越しで貯金を今季最多の5に伸ばし、17日からは敵地で広島3連戦に臨む。

 堀田の投じた直球がロージンの白い粉を巻き上げながら、ビュンと福井の風を切り裂いて走った。歓声に後押しされ、力強さがぐんぐんと増した。「いつも通り変わらずに1イニング1イニングって気持ちと、地方なのですごくファンの皆さんの声援が後押ししてくれました」。2―0の4回。先頭の宮崎を一ゴロに打ち取って、続く牧を空振り三振。筒香には2ボールから球場がどよめく力強い147キロ直球を投げ込んで空振り。ここから148、149キロと直球を続け、最後は内角高め148キロの直球で左飛に打ち取った。

 今季最長の6回90球を投げ2安打無失点3K。無傷の3勝目が手に入った。今季は先発として3試合目だが、計15回2/3を無失点。8日の中日戦では5回2/3で降板しただけに「(6回を)絶対投げ切ろうと思った」と、意地もあった。お立ち台では福井のファンへさわやかな笑顔を振りまいた。

 気持ちが勝った。「一昨年、去年はいい投球が続けられなかったので、いつも以上に気持ちが入った」。4、6回以外は走者を出したが、MAX149キロの直球を軸にチェンジアップやフォークなどで要所を締めた。阿部監督は「球種も少ないし、何でだろうなと。いい意味で不思議な投手。相手も打てそうで打てないんじゃないかな」と振り返った。

 どこにでも順応できるのが強み。今季は中継ぎスタートとなったが、1度先発して、中継ぎに戻り、また先発へと持ち場が変わった。それでも「どこでもいける準備はしてきた。気持ちの変化は特にない」とクールに受け止める。

 昨冬に参加した台湾ウィンターリーグ。宿舎で出される料理は台湾料理がほとんど。スパイスに八角が使用されていることが多く、食事が合わない選手も多数いたが、堀田は「僕は意外といけました」と意に介さず。「独特な風味で苦手でした」(鈴木大)、「ステーキとかお肉が少し獣っぽい感じがして食べられなかった」(萩尾)との声も上がる中、現地に溶け込んだ。加えて試合中の爆音応援も「日本とは違った雰囲気で楽しい」と楽しむ余裕があったという。初めての福井のマウンドにも「後半は足場が滑ってしまった」と言いつつ、即座に順応するたくましさを見せた。

 完封リレーでチームは今季8度目の0封勝利。阪神に0・5差の首位を守った。今季の防御率を0・74とした22歳は「他に先発として控えているいい投手がたくさんいるので、油断はできない。一戦一戦引き締めながらやっていきたい」。覚醒した背番号91の戦いはまだまだ続く。(水上 智恵)