福井県越前市ゆかりの紫式部が主人公の大河ドラマ「光る君へ」に合わせて開設されている市武生中央公園の「大河ドラマ館」入り口に、着物や帯などを並べた月替わりのミニ展示コーナーが設けられている。発案したのは、公募で集まった市民スタッフたち。式部や平安時代にちなんだ品を家庭から持ち寄って、県内外からの来館者をもてなしている。

 今年2月に開館した大河ドラマ館は、市などが委託した運営会社の下、同市内を中心とする主婦ら25人がスタッフとして参加。12月までの期間中、パネルや衣装が展示された会場内の持ち場に交代で立ち、案内や説明に当たっている。

 ミニ展示を思い立ったのはスタッフの一人、同市下太田町の若泉さん。「入り口の雰囲気が寂しいから、何か喜んでもらえることを」。同僚に思いを伝えると賛同者が集まり、「季節の移ろいコーナー」と名付けた展示を4月から自主的に始めた。

 5月の展示は、着付け教室に通う若泉さんが、新緑を連想させるヨモギ色の着物や帯を出品。スタッフ全員で休み時間に少しずつ和紙で作ったフジの花を添えた。別のスタッフが持参した平安貴族の遊び「貝合わせ」の工芸品も並び、来館者にプラスアルファの楽しみを提供している。

 「せっかくだから、自分たちのできることでもてなしたい」と若泉さん。館長は「スタッフ皆さんのやる気がすごい」と目を見張る。スタッフのグループLINEは「来月の展示内容を考える話題で持ち切り」(若泉さん)だという。
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