ローマのバロック芸術おすすめスポット①:ボルゲーゼ美術館

The Rape of Proserpina by Bernini, Galleria BorghesePublic domain, via Wikimedia Commons

ボルゲーゼ美術館はローマでもっとも人気のある美術館の1つです。ローマ市民憩いの場、ボルゲーゼ公園の中にあります。

ボルゲーゼ美術館といえば、やっぱりベルニーニ。イタリア・バロックの巨匠の1人であるベルニーニの圧倒的な実力を集約した彫刻作品が、ボルゲーゼ美術館では間近に鑑賞できます。

ベルニーニのほかにも、カラヴァッジョなどイタリア・バロックを彩った芸術家の作品がたくさんあります。ラファエロやティツィアーノの絵画もあり、見ごたえ抜群です!

ただし、ボルゲーゼ美術館は予約必須にもかかわらず1か月先まで予約で埋まっている現状です。(2024年5月現在)たまにキャンセルがでることもあるので、ぜひあきらめずにサイトをチェックし続けてくださいね。

公式サイト チケット購入画面: Tickets - Galleria Borghese

ローマのバロック芸術おすすめスポット②:バルベリーニ美術館

La palais Barberini (Rome) Public domain, via Wikimedia Commons

バルベリーニ美術館は、メトロAの駅バルベリーニ駅から徒歩3〜4分程度の好立地にある美術館です。ボルゲーゼ美術館と肩を並べるほどの所蔵作品の数々が鑑賞できますが、なぜかいつも比較的空いているので、ゆっくり鑑賞したい方におすすめです!

バルベリーニ美術館には、カラヴァッジョの絵画やベルニーニの彫刻などたくさんのバロック作品があります。たとえばカラヴァッジョの代表作の一つである『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』はここで鑑賞できます。

建築も見事で、チケットを購入して美術館入り口に向かうまでの昇りの階段はベルニーニが、帰りの下りの階段はボッロミーニが設計しました。2人の偉大な建築家の階段を実際に通行できるなんて、贅沢な体験ですよね!

ローマのバロック芸術おすすめスポット③:サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会

San luigi dei francesi, interno, cappella contarelli Public domain, via Wikimedia Commons

カラヴァッジョ作品を無料で鑑賞したい方にぜひおすすめなのが、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会です。ナヴォーナ広場とパンテオンのちょうど中間に位置し、ふらっと立ち寄ることができます。

サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会にはカラヴァッジョの『聖マタイ』に関する三部作があり、連日多くの観光客が訪れています。『聖マタイ』の作品があるのは、入り口から向かって左側の一番奥の礼拝堂です。

1〜2€のコインを入れるとライトアップされる仕組みになっており、投じた金額に応じて照明の時間が決まります。常に多くの人が作品の周りにいるので、誰かがお金を入れるのを待つか、自分でコインを入れに行きましょう。

ローマのバロック芸術おすすめスポット④:ナヴォーナ広場

Fontana dei Quattro Fiumi (Roma, Piazza Navona) Public domain, via Wikimedia Commons

ナヴォーナ広場はローマのシンボルともいえる広場で、常に多くの観光客が訪れる場所です。ここで見られるバロック作品は、もちろんベルニーニの大作『四つの川』。広場の噴水の装飾なので、鑑賞はもちろん無料です!

ベルニーニは17世紀当時に知られていた世界の川「ナイル川」「ドナウ川」「ガンジス川」そして「ラプラタ川」を擬人化してこの噴水をデザインしました。

よく見るとそれぞれの人物が地域の特徴を示した装飾をまとっています。たとえば、ラプラタ川の足元には金貨が積まれており、これはラプラタの語源「お金・銀」という言葉から来ているのでしょう。実際、当時発見されたばかりのアメリカ大陸はヨーロッパに莫大な富をもたらしました。

ナイル川にあたる人物が顔を隠しているのは、当時まだナイル川の水源が明らかになっていなかったからと言われています。一つずつじっくり鑑賞すると小さなヒントがたくさん隠されていて面白いですよ。

ローマのバロック芸術おすすめスポット⑤:サピエンツァ宮殿

It-roma-s ivo sapienza Public domain, via Wikimedia Commons

サピエンツァ宮殿は、ナヴォーナ広場から歩いてすぐのところにあります。観光地のど真ん中にありながら、あまり知られていないため比較的人が少なく、喧騒を離れてちょっと落ち着きたい方に最適です。開放されていない時間帯もありますが、無料で入場できます。

イタリア・バロックを支えた芸術家ボッロミーニが設計したサピエンツァ宮殿は、整然としているのにどことなく不気味さを感じる不思議な建築です。ボッロミーニらしい計算しつくされたデザインは、バロック芸術のダイナミズムを感じさせてくれます。

ちょっとおしゃれで特別な写真を撮りたいという方に、ぜひおすすめです。

ローマのバロック芸術おすすめスポット⑥:ジェズ教会

Rome-chiesa del Gesù002 Public domain, via Wikimedia Commons

バロック教会建築の代表作と言えば、ジェズ教会です。ジェズ教会はヴェネツィア広場から歩いて5分程度の場所にある、イエズス会の教会です。

イエズス会は現教皇フランチェスコ(2024年5月現在)の所属する修道会で知られますが、実は日本にもゆかりがあります。江戸時代に日本にキリスト教を最初に布教したのはイエズス会の宣教師たちであり、フランシスコ・ザビエルやイグナティウス・デ・ロヨラもイエズス会のメンバーでした。ジェズ教会はイエズス会のかつての本拠地であり、内部にはロヨラの墓があります。

建物全体を柱で区切らずに全体的な統一感を重視した構造は、のちに建設されたローマ・バロック建築の基礎となりました。天上を見上げると巧みに組み合わされたフレスコ画とスタッコ(白く軽い素材)の彫刻がこちらを見下ろしています。

ローマのバロック芸術おすすめスポット⑦:サンティニャツィオ教会

Triumph of St. Ignatius of Loyola, ceiling fresco by Andrea Pozzo Public domain, via Wikimedia Commons

サンティニャツィオ教会は、イグナティウス・デ・ロヨラに捧げられた教会です。(イタリア語でSant’Ignazioは聖イグナティウス)パンテオンから歩いて5分程度のところにあります。

サンティニャツィオ教会の見どころは、天上画です。見上げると天上全体を覆うような絵は、実際の建築構造との境を限りなく不明瞭にすることで幻想的な空間を作り出しています。

空に昇りゆく聖人の姿とその背景は、室内でありながら不思議な解放感があります。じっくり鑑賞するためには少し首が痛くなるかもしれません。

主祭壇の手前部分を見上げると、「クーポラ」があります。実はこれはだまし絵であり、一定の位置をすぎると遠近法的にまったく意味をなさない絵であることがわかります。資金不足によりクーポラの建設をあきらめ、代わりに絵を描いて内部からの印象を操作することにしたのだとか。

ローマにはバロック芸術を鑑賞できるスポットがたくさんあります。ここに紹介した7つのスポットはいずれも中心地にあり行きやすいため、ぜひ足を運んでみてください。以上、ローマのバロック芸術おすすめ鑑賞スポット7選でした!