上場企業の人員削減が加速している。東京商工リサーチ(東京都千代田区)によると、5月16日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は27社で、対象は4474人に達しており、すでに2023年(3161人)の年間実績を超えた。不採算事業などの見直しに伴うもので、この傾向が強まると2021年(1万5892人)以来、3年ぶりに1万人を超える可能性が出てきた。

 早期・希望退職募集が判明した上場27社の業種をみると、「電気機器」「情報・通信業」(いずれも6社)が最多となった。次いで「サービス業」(3社)、「食料品」「繊維製品」「その他製品」(いずれも2社)と続いた。

 「電気機器」はすべて構造改革に伴う募集で、不採算事業の見直しを急いでおり、「情報・通信」はアフターコロナのフェーズに対応するため人員の適正化を図っている。

 直近の通期最終損益については、黒字が17社、赤字が10社だった。黒字企業の募集人数は合計4316人で、96.4%を占めた。17社のうち、13社が東証プライム上場だった。

 赤字企業10社の合計は158人で、東証プライムとグロースが各4社、東証スタンダード2社という結果に。赤字企業の業種は、情報・通信業が3社、電気機器とサービス業が各2社、食料品、機械、卸売が各1社となった。

●コニカミノルタは2400人、資生堂は1500人

 国内外の早期・希望退職募集に対する特別損失の計上額が判明した上場企業は、コニカミノルタの200億円、資生堂の180億円、TOPPANホールディングスの61億円が上位を占めた。

 コニカミノルタは国内外で2400人、資生堂は国内で1500人の早期・希望退職募集を実施した。

 産業別では「製造業」が16社(59.2%)と突出し、オムロンやソニーグループ、コニカミノルタなど電気機器が情報・通信業と並び各6社で最多だった。円安の恩恵があるうちに不採算事業を閉鎖するなど、構造改革を進める製造業が目立つ。

 上場廃止した東芝など、集計対象外の大手企業も増えているほか、2024年は対象年齢に制限を設けない募集も増えてきた。

 調査は、希望・早期退職募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に集計。