東日本大震災後、歌手として全国デビューし被災者を励ました大槌町出身の臼沢岬さん(25)が27日、岩手県で7年ぶりにステージに立った。大学進学を機に無期限で活動休止していたが、「私がいなくなった後も、ここに残る音楽を」との願いを込め「AFTER I DIE(アフターアイダイ)」のアーティスト名で新たなスタートを切った。作詞、作曲も手がけ心に響く音楽を届ける。

 「また皆さんに会うことができてうれしい」。盛岡市中央通のライブミュージックパブ。交流サイト(SNS)で催しを知り駆け付けたファンら約30人に臼沢さんが語りかけた。やや緊張した面持ちだったが「おかえり」と声が飛び笑顔になった。

 ハスキーさが増しつつ、伸びやかな歌声は健在。心の中に炎と悲しみを抱き、自分で歩き始める決意をつづったオリジナル曲「旅立ち」を歌い終えると感極まり、涙を拭った。