米IT大手のAppleが日本時間の7日深夜、オンラインイベントで、新型「iPad」シリーズ2機種と関連周辺機器を発表した。大幅に刷新された性能や、円安の影響による価格高騰に注目が集まる一方で、新型のコンセプトを表現するプロモーション映像の演出に違和感を覚えるユーザーが続出した。

この日発表されたのは、標準モデルの「iPad Air」と上位モデルの「iPad Pro」、そして「Magic Keyboard」と「Apple Pencil Pro」。Air、Proともに画面サイズが11インチと13インチの2種類展開となり、チップはAirが従来型のM1からM2へ、ProはM2からM4へと置き換えられて性能が大幅に向上。Proは両モデルとも有機ELタイプのディスプレイに刷新され、表示品質もグレードアップした。価格はAirが9万9800円から、Proが16万8800円からで15日に発売。同社オンラインショップですでに販売予約の受け付けを開始している。

SNSでは発表直後から注目が集まり、「早くもM4かぁ」「有機ELはアツイ」「パワフルでこの薄さは衝撃」「Airに13インチキター!」など圧倒的なスペックへの反響や、「新iPad Proに願いを全部詰め込むと55万円です」「円安でなけりゃもう少し安かったんだろうけどなぁ」というように価格設定に落胆する声などが続々と寄せられた。

一方で、iPad Proを紹介するプロモーション映像に言及したコメントも目立った。映像は、ピアノやギターなどの楽器、レコードプレイヤー、カメラのレンズ、ペンキ缶、アーケードゲーム機といったさまざまなアナログな道具・機器類が巨大なプレス機で押し潰され、今までで最も薄いiPad Proが出来上がるという内容。まだ使える、形あるものが無残に壊されていく様子にショックを受けた視聴者が少なくなかったようで、「この1台に全ての機能を詰め込んだということを伝えたいのだろうけど…」「見てて気分は良くなかった」「いたたまれない気持ちになった」「なんか悲しくなっちゃった」「ものづくりメーカーとしては最低のクソ映像だなと思いました」といった書き込みが散見された。

さらには、同社のファンと見られるユーザーからも、「初めてAppleに嫌悪感を抱きました」「芸術を大切にしてるからこそアーティストからリスペクトされる会社だと思っていた」「アナログのクリエイティブを軽んじる演出であり、文化芸術全体を愚弄している。これ見て『iPadほしい』とはならんのよ」との厳しい声があがっていた。