NHK連続テレビ小説「虎に翼」(総合など)第6週「女の一念、岩をも通す?」(第26〜30話)の第29話が9日、放送される。

日本初の女性弁護士で、のちに裁判官になった三淵嘉子さんの人生をもとにした物語を描く朝ドラ「虎に翼」。女優の伊藤沙莉が主人公の猪爪寅子役を演じる。主題歌「さよーならまたいつか!」を歌うのは、シンガー・ソングライターの米津玄師。語りを「カーネーション」(2011年度後期)で主演を務めた女優の尾野真千子が担当する。

「虎に翼」第6週「女の一念、岩をも通す?」振り返り

昭和12(1937)年、明律大法学部で最終学年となった寅子が級友たちと挑んだ高等試験は、女子が全滅、花岡悟(岩田剛典)ら男子2人が合格という厳しい結果で終了。優秀な先輩の久保田聡子(小林涼子)すら口述試験で落とされたことに納得がいかない寅子たちがモヤモヤした思いを募らせるなか、同大女子部の新入生募集が中止になるという知らせが入った。この一報に、朝鮮からの留学生で普段はおとなしい崔香淑(ハ・ヨンス)が激怒。教授の穂高重親(小林薫)らに猛抗議し、寅子たちも一緒に土下座して頼んだ結果、翌年の高等試験で合格者が出た場合は新入生募集を再開するよう方針が改められた。

昭和13年春、寅子たちは大学を卒業。寅子は、父の直言(岡部たかし)が無罪になった「共亜事件」の裁判で知り合った弁護士、雲野六郎(ドランクドラゴン・塚地武雅)の法律事務所で働きながら、高等試験合格を再び目指すことになった。高等試験に落ちた同志たちと、たびたび集まっては、次の試験に備えて勉強会を開いて切磋琢磨。そんなところに特高警察が押しかけ、香淑に、思想犯の疑いをかけられている兄、潤哲(ユン・ソンモ)の居場所を尋ねた。香淑は、「兄は朝鮮に帰った」と説明した。

香淑は、突然の事態に驚く寅子たちに事情を話した。かつて特高から取り調べを受けた際、思想犯と疑われた兄を持つ朝鮮人の女性を高等試験に受からせるわけがないと言われたと吐露。すでに弁護士になる夢は諦めており、これから法律を学ぶ女性のために少しでも役立ちたいという一心で同級生たちの勉強につき合ってきたことを明かした。香淑が人知れず抱えていた事情に大きなショックを受ける寅子たち。香淑は、仲間たちが次の試験を終えるのを見届けたいというが、男装の学友、山田よね(土居志央梨)は、朝鮮に帰るならタイミングは「今しかない」と助言。香淑は、「最後まで一緒にいられなくてごめんなさい」と謝った。

香淑との思い出作りのため、寅子たちは海にやってきたが、オフシーズンのせいで、期待したのものとは違う寒々しい景色が目の前に広がった。寅子たちは大学での思い出を振り返り、入学式や学園祭での法廷劇、男子とのハイキングなど、いつも思いどおりには行かず、トラブルがつきものだったことを自虐気味に懐かしんだ。香淑は、それでも最後はいつもいい方向に流れたし今回もきっとそうなると明るくフォロー。香淑のリクエストで寅子が得意の「モン・パパ」をはなむけに歌い、香淑を故郷に送り出した。

さらに、華族令嬢の桜川涼子(桜井ユキ)も、父、侑次郎(中村育二)が芸者と駆け落ちし、家を継ぐためにやむなく婿を取ることになり、次の高等試験受験を断念することになった。「お前はそれでいいのか?」と怒りをぶつけるよねに、「私のわがままに付き合わせることができない」と返す涼子。すると、奥から酔った母の寿子(筒井真理子)が出てきて、自分の口添えで高等試験に合格させてあげましょうかと絡んできた。寅子は、それでは意味がないとし、涼子と寿子の幸せを願っていると伝えると、寿子が寅子につかみかかろうとした。そんな母を涼子は泣きながら抱きしめた。母を見捨てられないという涼子の言葉に、寅子たちは、返す言葉が見つからなかった。

一方、梅子は、夫の徹男(飯田基祐)から「息子たちにはもう会えないと思え」と言われ、離婚届をつきつけられていた。

「虎に翼」第29話あらすじ

2度目の高等試験当日、寅子たちは涼子と香淑の思いを背負って試験に挑むが、今度は最年長の同窓生、大庭梅子(平岩紙)の姿が会場にない。梅子を気にしながらも筆記試験を終えた寅子が帰宅すると、梅子からの手紙が届いていた。夫から離婚を言い渡され、三男の光三郎(石塚陸翔)を連れて家を出たという。梅子が寅子たちに思いを託すなか、寅子の口述試験の日がやってくる。