《日頃より温かいご支援ご厚情をいただき心より御礼申し上げます 弊社所属 中尾 彬が去る2024年5月16日 心不全のため81歳で永眠しました》

5月22日、俳優の中尾彬さんが亡くなっていたことが所属事務所の公式サイトで発表された。中尾さんの妻である池波志乃(69)もコメントを寄せており、そこで池波は《今年に入って足腰が悪く体力も落ちて、医師の訪問を受けながら、本人の意思により、自宅でゆっくり休んでおりました》といい、中尾さんはリハビリの合間に仕事をしていたものの《15日に容態が急変し、16日の夜中に自宅で私と二人の時に、とても穏やかに本当に眠るように息を引き取りました》と明かした。

武蔵野美術大学在学中に日活ニューフェイスに合格し、俳優の道を歩むこととなった中尾さん。映画やドラマだけでなくバラエティ番組でも活躍し、マフラーを捻って首に巻いた“ねじねじ姿”は老若男女問わず広く親しまれていた。

事務所によると葬儀告別式は近親者のみで執り行われ、お別れの会も予定していないという。この理由について池波は《終活以来の中尾の遺言で、このような形を取りました》と明かしている。

終活は、中尾夫妻にとって一つのキーワードだ。芸能界きってのおしどり夫婦として知られる2人は、元気なうちから終活に取り組むことに。’18年に終活について綴った共著『終活夫婦』(講談社)を上梓しているほどで、昨年6月にも『ぽかぽか』(フジテレビ系)に夫婦で出演し、人生のしまい方について語っていた。

もともと2人の終活は、妻である池波がきっかけだったという。’17年5月、中尾夫妻は本誌のインタビューに応じ、その際、中尾さんは「’15年ごろ、『そろそろ2人のお墓のこと、考えない?』と言い始めたのは、志乃でした。私は長男ですが、千葉の実家は弟がすでに継いでいますから、死んだらいくところはなかった」と述べていた。

2人はお墓のことだけでなく、どちらか片方が残された時のことも考えるようになったといい、当時中尾さんは家事が1人でできるように習得している最中だと明かしていた。また中尾さんは「つくづく私たち夫婦は、子どもがいなかったから、2人なりの違った世界というものがあったな」と子供がいなかったからこそ、終活に対して積極的になったと話していた。

パートナーに向き合いながら、別れの準備をしてきた中尾夫妻。’20年3月には池波が1人で本誌のインタビューに応じ、終活の具体的な内容について語った。池波によると、二人で相談し、400本あった中尾さんの“ねじねじ”を200本を処分。しかし、中尾さんはその後意外な行動をとったという。

「そしたらスペースができたので中尾さんがまたニコニコして買ってきて(笑)。でも、捨てることが目的ではないからいいんです。終活は『楽しみをなくさない』が鉄則ですから」

終活を通して多くのものを手放したことで、大切なものが際立ったようだ。池波は「最近は月に1度旅行に行っています。片付けを始めると、いろいろな思い出がよみがえってくるんです。この土産物を買った旅館にもう一度行きたいな、と……。いまはプライベートの予定を入れて、それからお仕事を入れているんですよ」と、終活のおかげで身軽になったと明かしていた。

念入りに準備してから旅立った中尾さん。悔いなく、天国での生活を送れそうだ。