ポルシェのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、フォーミュラE第6戦ミサノE-Prixでトップチェッカーを受けたものの、レース後の車検で失格となったが、シリーズのためにもこうした事態はできるだけ避けるべきだと考えている。

 FIAの検査員は、第6戦ミサノE-Prixの後、ダ・コスタのマシンのスロットルダンパーのスプリングが不適格であることを発見。レースから数時間後に優勝が剥奪された。

 問題となった部品は、前世代マシンGen2では使われていたものの、Gen3にマシンの世代が変わった昨年から、”Gen3スパークカタログ”から削除されていた。

 ポルシェはこれに気づかず、同じスプリングを使い続けていたようだ。カタログについてはパーツの追加については強調されていたものの、削除については強調されていなかったことが違反につながった原因だと説明した。

 モナコE-Prixを前に、ダ・コスタはレースの数時間後にこうした決定を下すことはチャンピオンシップにとって良いことではなく、結果が変わったときにファンに説明するのは難しいと考えている。

「パフォーマンス上のアドバンテージはなく、文字通りシリアルナンバーのミスだ」とダ・コスタはmotorsport.comに語った。

「みんなにとって、すべてにとって都合がいい別の方法を見つけよう」

「僕としては上手くやったレースだと思っていたから痛恨だよ。かなり慎重だったし、適切なタイミングで適切なことをした。13番手からレースを制したのに、ポイントがなくなってしまった」

「タイトル争いを立て直す絶好のチャンスでもあった。20〜30ポイント差で5〜6番手だったはずだ。でも今は69ポイント差なんだ」

「こうしたペナルティについて、このスポーツのためにももっとうまくやるべきだと思う」

「(ファンに対して)どうして僕が優勝を逃したのか、説明してみてよ。それは不可能だ。みんな理解できないんだ」

 失格が発表された直後、ポルシェは不服申し立ての意向を示し、96時間以内にさらなる措置を取るかどうかを決定することになった。

 そしてその期限を前に、チームは上訴することを確認し、6月上旬にダ・コスタのリザルト復帰の可否を決める審問が行なわれる予定だ。

「チームにとっても、僕にとってもポイントが重要だということの表れだ」

 そうダ・コスタは付け加えた。

「攻勢に出て、ポイントを取り戻したいと思っている。僕は自分たちが正しいと信じている」

「僕はチーターじゃない。ここにいるだれもが、不正行為をしていないし、それを嫌っている。もしパフォーマンスにアドバンテージがあったなら、『終わりだ。レースから除外されるのは正しい』と思ったが、そうではなかったんだ。どうなるか見てみよう」

 ただ、ダ・コスタの失格を決めたスチュワードの裁定では、「競技者はマシンの適合性に責任を負い、たとえ性能上のアドバンテージがないとしても、マシンは規則に従わなければならない」と記しているだけに、ダ・コスタの主張が受け入れられるかは大きな疑問だろう。