F1マイアミGPでハースのケビン・マグヌッセンは、土曜日のスプリントと日曜日の決勝レース合わせてペナルティポイント5を加算されてしまうことになった。これにより現時点での累積ペナルティポイントは10。自動的に出場停止処分となる12まで、あと2ポイントしか残っていないという状況に陥った。

 そのマグヌッセンはマイアミGPの決勝レースを終え、実に言葉少なだった。

 マイアミGPでのマグヌッセンは、まさに大暴れという状態であった。スプリントではルイス・ハミルトン(メルセデス)相手に徹底抗戦した際、合計4回のペナルティで35秒のタイム加算、加えてペナルティポイント3を科された。また決勝レースでも、ウイリアムズのローガン・サージェントとの接触の原因を作ったとして、ペナルティポイント2が科された。

 マグヌッセンの累積のペナルティポイントは10となったため、今季残りのレースでペナルティポイントをあと2点もらってしまえば、自動的にレース出場停止の処分が科されることになる。

 もしそれが現実のものとなれば、ペナルティポイントの累積で出場停止処分を受けた初めてのF1ドライバーということになる。しかも注目すべきは、このペナルティポイント10は、全てここ5戦のうちに科されたモノであるということだ。

 ペナルティポイントは、科されてから12ヵ月後に消滅するということになるが、マグヌッセンの場合は2025年3月9日まで、10ポイントから減算されることが一切ないわけだ。

 マグヌッセンが”獲得”したペナルティポイントは、下記の通りである。

■第2戦サウジアラビアGP:3ポイント
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)との接触事故の全面的もしくは部分的な責任があるとして

■第5戦中国GP:2ポイント
角田裕毅(RB)とのクラッシュの主な責任があるとして

■第6戦マイアミGPスプリント:3ポイント
ルイス・ハミルトン(メルセデス)とのバトル中にコース外を走行して有利を得たため

■第6戦マイアミGP:2ポイント
ローガン・サージェント(ウイリアムズ)との衝突事故の全面的な責任があるとして

 なお今季のマグヌッセンのドライビングは、単にペナルティポイントの加算対象となるだけではなく、チームメイトであるニコ・ヒュルケンベルグが入賞するのを手助けするため、その障害となりそうなライバルを徹底的にブロックするという点でも批判を浴びている。

 マイアミでは、スプリントでのドライビングは”スポーツマンシップに反する”疑いがあるとしてスチュワードに呼び出され、聞き取り調査を受けたが、制裁が必要なほど悪質な行為ではなかったと判断された。

 しかしマクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、マグヌッセンのドライビングに意義。レース中に繰り返しペナルティの対象をなった場合には、より厳しい措置で対応するべきだと語った。

「これはライバルに対して故意にダメージを与える行為であり、それが同じレースの中で続けられ、そして同じシーズンで何度も繰り返されているからだ」

「ペナルティをどのように累積していくか? それは指数関数的(に急激に増加するもの)でなければならない。5+5+5=15ではない。5+5+5なら、その人は一度レースウィークを家で家族と共に過ごし、自分のスポーツマンシップを反省して戻ってこないといけない」

 しかし出場停止処分が目前に迫っているという事実は、マグヌッセンも重々承知しているようで、今後は同じような行動に出る前に、今まで以上に考えることになるかもしれない。

 サージェントとの接触でペナルティを受けたことを知った後、マグヌッセンはメディアの取材に応じた。しかし、珍しく言葉少なだったのは、その悲痛な心情を表しているからだろう。

 マグヌッセンとメディアとのやりとりは、以下のような感じだった。

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Q. ローガンとの接触について、どう思っている?

マグヌッセン:コメントしない方がいいね……コメントしない方がいい

Q. 裁定には満足していない?

マグヌッセン:してないよ

Q. ペナルティは間違っていると?

マグヌッセン:コメントしない方がいいね

Q. ステラ代表のあなたに関する発言についても、コメントしたくないのかな?

マグヌッセン:そうだね

Q. オーケー。レースのルールについての回答と、明確さが必要だということだね?

マグヌッセン:そうだね

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 次のレースは、2週間後のエミリア・ロマーニャGPである。