F1マイアミGPでは、ランド・ノリス(マクラーレン)が参戦110戦目にしてF1初優勝を挙げた。レース中盤のケビン・マグヌッセン(ハース)とローガン・サージェント(ウイリアムズ)の接触によるセーフティカー導入がノリスの勝利に寄与したが、マクラーレン時代の2019年〜2020年にノリスとコンビを組んだカルロス・サインツJr.はそうした「ちょっとした幸運」が訪れるに相応しいドライバーだと考えている。

 ノリスはレース序盤こそ上位勢を追いかける立場だったものの、第1スティントを引っ張る戦略を採り、ライバルの多くがピットストップを済ませる中で首位に浮上。ここでセーフティカー導入となり、ノリスはタイムロスを最小限に抑え首位のままコースに合流することが叶った。

 サインツJr.もセーフティカー出動の恩恵を受けられなかったドライバーのひとり。1周遅くピットストップしていれば「勝てたかもしれない」と感じていたという。

 しかしサインツJr.は、そうした「幸運」はノリスの勝利の価値を損なうモノではないという。実際、ノリスはセーフティカー明けのレース後半で2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に7.6秒のギャップを築いて優勝した。

「幸運はそれに相応しい人に訪れるモノだと思う」とサインツJr.は言う。

「ランドはこの週末、初優勝を飾るに相応しい幸運に恵まれたひとりだ」

「僕らドライバーの間では、誰がレースに勝つに相応しいか、誰がレースに勝てるレベルのドライビングをしているかが分かっている」

「そしてランドがレースに勝つためにドライビングしてきたことも知っている。彼がついに優勝した時、僕らはみんな、彼のことを祝福している」


 またサインツJr.は、友人でありライバルでもあるノリスが、これまでもレースウイナーのような走りを見せていたと語った。

「ランドが幸運を掴んでレースで勝ったように、F1では運の要素がある」とサインツJr.は言う。

「でも、彼はこれまで何度も何度も、レースウイナーのような走りを続けてきた。彼は勝利に相応しい。運の要素は関係ない」

「彼はレースウイナーだ。それは時間の問題で、その時が彼に訪れたんだ」

「そして、ベストなマシンを持っていない時はちょっとした幸運が必要だということをみんな受け入れる必要がある」

 ノリス自身はレース後の記者会見で、セーフティカー中のピットストップがなければ優勝は難しかったと認めた。

「厳しかっただろうね。フェラーリ2台、レッドブル1台、オスカー(ピアストリ/マクラーレン)をオーバーテイクしなきゃいけなかったからね」

 そしてフェルスタッペンはノリスの言葉を遮って次のように付け加えた。

「常にタラレバになるだろう? もし僕のママに“ボール”があれば、僕のパパになっていただろうね」

「そう、レースとはそういうモノなんだ。上手くいく時もあれば、そうでない時もある」