シーズン第2戦オートポリスでITOCHU ENEX TEAM IMPULからスーパーフォーミュラデビューを果たし、13位完走を果たしたベン・バーニコート。本人もレースウィークを楽しみ、素晴らしい経験になったと感じている一方で、今季の残りレースに参戦することはないと改めて明言した。

 バーニコートは今回、インディカー・シリーズ参戦に伴ってチームを離脱したテオ・プルシェールの代役としてスポット参戦。レースウィーク1週間前の土曜日に連絡が入るという急遽の参戦となったが、昨年末のテストでスーパーフォーミュラを初体験して好タイムを出していただけあってすぐに順応して見せた。

 予選はQ1 A組で9番手に終わり総合17番手。しかしB組を走ったチームメイトの国本雄資を上回るタイムを出したことには満足しており、予選後には「僕の方に良いカードが揃っていれば上のグリッドからスタートできたかもしれないと思うと悔しいけど、B組だったらQ2に進めているようなタイムだし、それは喜ばしいこと」とコメントしていた。

 そして決勝では中団グループでバトルを繰り広げて13位でフィニッシュした。レース中はタイヤのデグラデーションにも苦しんでいたというが、「多くのことを学べたし、これがチームの進歩にも繋がると思っている」と語った。

 そして気になるのが次戦以降のことだが、バーニコートが参戦しているIMSAとスーパーフォーミュラの日程が多くバッティングしていることもあってか、彼が第3戦以降にインパルのシートに座ることはなさそうだ。

「特に今回初めてレースを走ったということもあって、またスーパーフォーミュラでレースがしたいという気持ちがある。ただ(今季は)悲しいことに間違いなくそれはない」とバーニコートは言う。

「僕の優先事項はIMSA。(GTD Proクラスで)2度目のチャンピオンを狙っている。そして(SFとIMSAは)カレンダーが被っているんだ。ここで良いレベルのレースができることは証明できたし、来年はオーガナイザーが日程を被らせないうようにしてくれると嬉しいけどね。将来またここに戻ってこられたら嬉しい」

 若手時代はフォーミュラ・ルノーやF3などのシングルシーターを主戦場としていたバーニコートだが、彼の直近の夢は耐久レースにある。今はIMSAでレクサスのGTマシンを走らせているが、ゆくゆくはトヨタのハイパーカードライバーとなり、ル・マン24時間で総合優勝したいという。

「僕の個人的な目標は、ハイパーカーに乗ってル・マンで総合優勝することだ」

「若い頃は確かに、シングルシーターの方向に向いていた。でも20歳になった時にジュニアドライバーとしてのスポンサーシップがなくなってしまい、スポーツカーレースに転向することになった。今はGTカーやスポーツカーで走れて幸せだし、トヨタ/レクサスのファミリーという恵まれた環境にあるので、そこでのレースを続けたい」

 またバーニコートは、今回の走りがトヨタのWEC(世界耐久選手権)チーム入りに向けての評価材料になることも期待しているようだ。

「個人的にはキャリア最高の経験になった」

「僕のキャリアとしても、トヨタとGRファミリーに僕がGTだけじゃなくてシングルシーターでも速く走れることを見せられたと思う。僕の目標はトヨタでル・マンに出ることだから、願わくば今回のレースがそこに向けたプラスになれば良いなと思う」