アストンマーティンとパートナーチームであるハート・オブ・レーシングは昨年10月、世界耐久選手権(WEC)とIMSAスポーツカー選手権に2025年からル・マン・ハイパーカー(LMH)規則に基づいたヴァルキリーを1台ずつ投入するプログラムを発表した。

 その後、WECが2025年からワークスチームに2台体制での参戦を義務付けることを計画していることが明らかになったが、アストンマーティンの耐久部門責任者であるアダム・カーターは、レギュレーション変更にも対応できると説明した。

「我々は選手権の成長に伴い、WECが実施していることを全面的にサポートする」とカーターは語った。

「我々はプログラムに注力している。レギュレーションを見直して、それに適応していく」

「レギュレーションがはっきりするまで、現時点では推測の域を出ない。いずれ我々も発表する予定だ」

 FIAモータースポーツ評議会の承認が必要ではあるものの、WECでワークスの2台体制が導入されることは間違いなさそうだ。

 ハート・オブ・レーシングはWECハイパーカークラスに2台のヴァルキリーを投入することになると予想されているが、カーターはこの質問への返答を避けた。

 ただカーターは、WECでのプログラムが拡大されたとしても、IMSAプログラムが影響を受けることはないと認めた。

 プロジェクト発足時に明かされたスケジュールでは、ヴァルキリーLMHは第2四半期末までにサーキットデビューを果たすとされている。

「第2四半期の終わりごろになるだろう。全てターゲット通りに進んでいて、7月にはサーキットテストを開始する予定だ」とカーターは説明した。

 初回テストでアストンマーティンはヨーロッパで1台を走らせ、今年の後半にはアメリカのIMSAサーキットで2台目をテストする予定だ。

「まずはヨーロッパで1台のテストカーに集中し、走行距離が一定の基準を超えたら、テストカーをアメリカとヨーロッパに1台ずつ投入する予定だ」とカーターは説明した。

 カーターはまた、新型LMH開発のベースとなるヴァルキリーのサーキット専用車両AMR Proでのテストが終了したことも認めた。このプログラムはシステム、ソフトウェア、データ収集に焦点が当てられ、1月にシルバーストンで1回、4月にポルティマオでさらに2日間の走行が行なわれた。

 ハート・オブ・レーシングの新拠点であるブラックリーは既に稼働しており、カーターは、オリジナルのヴァルキリーLMHが2020年に計画中止となった後、AMR Proを開発したマルチマティック・モータースポーツをハート・オブ・レーシングのための“サービス・プロバイダー”と表現した。

「最終的にはマルチマティックがスタッフを務めるが、ハート・オブ・レーシングのチームになる」とカーターは説明した。