開幕から1ヶ月が経過しましたが、ベイスターズはここまで3連勝が1度のみで、5連敗も喫するなど苦戦が続いています。4月13日を最後に借金生活が続いており、5月の戦いは今後を左右する分岐点にもなりそうです。

今回はスタートダッシュに失敗した要因は何なのか。ここまでの問題点をあぶり出して、今後の反攻に活かすことを期待しましょう(記録は4月30日時点)。

◆先発投手陣の不振

今永昇太とバウアーが抜けて今季最大の不安点と言われた先発投手陣。ここまで2勝以上をマークしているのは東克樹(2勝)のみと、開幕前の不安を覆せていない。右のエース格である大貫晋一は防御率2点台をマークしているが、4月29日終了時点(成績は以下全て同じ)で1勝3敗。

トミー・ジョン手術からの完全復活が期待された平良拳太郎は、開幕2戦目に先発して9回途中1失点で今季初勝利をマークしたが、その後の二軍での調整登板で右肩の違和感を訴えて離脱となった。

左右のローテ候補として期待された新外国人も、右のジャクソンは来日初登板初勝利をマークしたが、その後は3連敗。左腕のケイも4試合で1勝2敗、防御率4点台と期待に応えられていない。2021年ドラフト1位の小園健太は、4月10日にプロ初先発で一軍デビューを果たしたが、3回途中5失点で敗戦投手となり、すぐに二軍降格となった。

◆「リーグ屈指の打撃陣」の誤算

牧秀悟、佐野恵太、宮崎敏郎のタイトルホルダーを中心に、リーグ屈指と前評判が高かった打線。今季は復活が期待されたオースティンが開幕から2番に定着し、さらなる得点力アップが期待されたが、開幕10試合で右太腿肉離れを発症して長期離脱の見込みとなった。

ここまでの打撃不振は数字を見ても明らかで、特にチーム本塁打はわずか8本塁打とリーグワーストの成績。代打陣も出塁率、得点圏打率ともに1割台と不振が続いている。全体を見ても絶好調と言える選手が見当たらず、今ひとつ機能しない打線で、起爆剤として電撃復帰を果たした筒香嘉智に大きな期待がかかりそうだ。

◆12球団ワーストの失策数

先週の試合を見ても、23日の阪神戦は外野からの中継ミスによる失点、27日の巨人戦は挟殺プレーの失敗からの失点が致命傷になり、僅差の試合をものにできないなど、今季は守備の乱れが勝敗につながるケースが多い。

事実、チーム失策数18は12球団ワーストで、その内訳を見ると、牧が最多の4失策、石上泰輝が3失策と、センターラインの不安定さが目立つ。ルーキーの石上は思い切りのいい打撃が評価されてスタメン起用が増えているが、その打撃も打率2割を切る状態。京田陽太や柴田竜拓など守備に定評のある選手や、2年目の林琢真、今季一軍未出場の森敬斗まで含めて、誰が正遊撃手の座を確保するのか、注目される。

◆ホーム、ハマスタでの不振

2022年は勝率.581、昨季も勝率.550と、近年は真っ青に染まったスタンドの大声援を味方につけているベイスターズだが、今季は4勝8敗の勝率.333とホームアドバンテージを活かせていない。

個々の選手を見ても、宮崎が打率.256(昨季.343)、牧が打率.260(昨季.295)と主軸が振るわず、来日1年目の2020年に打率.337、21年は打率.367をマークしたオースティンの離脱は痛手と言える。そんな中、打率急降下の度会隆輝は横浜スタジアムでは打率.283、3本塁打をマークしており、今後も試合後のお立ち台でファンを沸かせる存在として期待される。

◆今週の度会隆輝(4月23〜28日)

阪神との2連戦では2試合連続5打数ノーヒット、さらに2試合続けて一打同点、逆転のチャンスで最後の打者として空振り三振でゲームセットとなった。23日の最終打席では2球ストライクを見逃した後、空振りで3球三振と、らしさが見られなくなった状態で、26日の巨人戦から今季初めて1番を外れて8番に降格した。

このまま結果が出なければスタメン落ちの危機でもあったが、この試合で4月12日以来、自身3度目となる3安打猛打賞。8回の第4打席では試合を決定づける満塁本塁打と崖っぷちでの勝負強さを発揮した。翌日も1安打で1番に復帰した28日は無安打に終わり、打率.220で先週を終えた。

文:大久保泰伸