大会3日目に設定されたのは平坦ステージ、ノヴァーラからフォッサーノまで166km。アクチュアルスタートが切られても動く選手は皆無、集団は一つのまま平均時速も40km/hに満たない状態でレースは推移。58.1km地点に設置された4級山岳を目掛けて山岳賞3位につけるリリアン・カルメジャーヌ(アンテルマルシェ・ワンティ)が飛び出すとダヴィデ・バッレリーニ(アスタナカザクスタン)が追従する。しかしカルメジャーヌは目的の山岳ポイントを獲得すると一人集団に下がってしまう、バッレリーニはその後10km以上走ったあとで集団に戻っていった。

中間スプリントポイントが近づくと各チーム隊列を組んで、エーススプリンターたちを押し上げ、ジョナサン・ミラン(リドル・トレック)が先頭通過、マリア・チクラミーノ着用のフィリッポ・フィオレッリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)がそのままペダルを踏み続け、メイン集団に1分30秒の差をつけた。中間スプリントポイントで加速したカーデン・グローブス(アルペシン・ドゥクーニンク)、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)、ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)ら24人が先頭グループとなりインテルジロを目指し速度を上げる。

先頭グループに乗り損ねたポルティ・コメタやバーレーン・ヴィクトリアス、モビスターがメイングループを牽引し集団は縦一列棒状に。インテルジロもミランが先頭通過、さらに脚は緩めず無印峠で40秒差まで詰められたが、メイン集団は大きく分断していた。マリア・ビアンカ着用のキアン・アイデブルックス(ヴィスマ・リースアバイク)はメイングループから30秒以上遅れ、15km以上追いかけて集団は再び一つに戻った。ボーナスタイムのある中間スプリントポイントではベン・スウィフト(イネオス・グレナディアーズ)3秒、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)2秒、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)1秒を獲得。

ゴール手前4.5kmから始まる上り、ラスト3km地点でミッケルフレーリク・ホノレ(EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック、ポガチャルとトーマスがついて行き、2人は先行したままフラムルージュ。スプリンター擁するチームは隊列を乱されながらも追いラスト200mでポガチャルを捉えそのままスプリント勝負になだれこむ。トビアスルンド・アンドレースン(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)がロングスプリント、ミラン、別のラインからメルリールがハンドルを投げ「ステージレースの最初のスプリントステージ」での勝利をもぎ取った、メルリールはジロ通算2勝目、マリア・チクラミーノも獲得。

「スリリングな最後だった。上りは苦しんだけれどアラフィリップが助けてくれた、ポガチャルとトーマスに追いつけないかと思ったけどチームの働きは素晴らしかった」メルリール、ステージ勝利後インタビュー

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第3ステージ|Cycle*2024

ステージ順位
1 ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)in 03h 54' 35''
2 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック),,
3 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア/アンテルマルシェ・ワンティ),,
4 イエンセ・ビールマンス(ベルギー/アルケア・B&Bホテルズ),,
5 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク/dsmフィルメニッヒ・ポストNL),,
6 オラフ・コーイ(オランダ/ヴィスマ・リースアバイク),,
7 イーサン・ヴァーノン(イギリス/イスラエル・プレミアテック),,
8 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド/コフィディス),,
9 フェルナンド・ガビリア(コロンビア/モビスター),,
10 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア/チューダープロサイクリングチーム),,

個人総合順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 11h 03' 02''
2 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 00' 46''
3 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)+ 00' 47''
4 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター)+ 00' 56''
5 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク),,
6 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア/アスタナカザクスタン)+ 01' 07''
7 フアン・ロペス(スペイン/リドル・トレック)+ 01' 11''
8 ヤン・ヒルト(チェコ/スーダル・クイックステップ)+ 01' 13''
9 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン/アスタナカザクスタン)+ 01' 26''
10 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル),,

ポイント賞
ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)63 Pts
2 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)63 Pts
3 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)42 Pts

山岳賞
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)51 Pts
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)26 Pts
3 リリアン・カルメジャーヌ(フランス/アンテルマルシェ・ワンティ)23 Pts

ヤングライダー賞
1 キアン・アイデブルックス(ベルギー/ヴィスマ・リースアバイク)in 11h 03' 58''
2 アレックス・ボーダン(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 00' 44''
3 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー/スーダル・クイックステップ)+ 00' 48''

チーム総合順位
1 ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)in 33h 13' 36''
2 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)+ 00' 32''
3 アスタナカザクスタン(カザフスタン)+ 00' 46''

リタイア
74 サイモン・カー(イギリス/EFエデュケーション・イージーポスト)
152 エディ・ダンバー(アイルランド/ジェイコ・アルウラー)

5月7日(火)第4ステージ
アックイ・テルメ > アンドーラ
190 km(平坦 ★★☆☆☆/獲得標高 1700 m)

3日間過ごした開幕の地ピエモンテをいよいよ離れ、美しきイタリアンリヴィエラへ。5月の海の青を眺めながら、2日連続のスプリント勝負を堪能したい。

炭酸温泉の湧き出るアックイ・テルメでスタートを切ると、ピンクの一行は、うねりの多い道を進む。行く手には3級山岳コッレ・デル・メローニョ(登坂距離7.5km、平均勾配4.8km、最大勾配9%)が立ちはだかるが、いまだ元気なスプリンターたちをそれほど苦しめることはないだろう。しかもこの日唯一の山岳を越えれば、残り100kmはほぼ下りと平坦のみ。

残り約60kmのサヴォーナで地中海に出ると、あとはフィニッシュのアンドーラまでひたすら海岸線を行く。つまりミラノ〜サンレモの最終盤と同じ道を走り、つまりは同じ起伏に突き当たる。ポッジオやチプレッサ……のはるか手前のトレ・カピ(3つの岬)の、1番目のカポ=カポ・メーレが、フィニッシュ直前で待ち受けるのだ。

3月のモニュメントではクレイジーなフィナーレの序曲に過ぎず、カポ・メーレで特筆すべき攻撃は見られないけれど、残り4.5kmから上り始める今回、全長1.5km・平均勾配5.1%の坂道で何も起こらないわけがない。アンドーラへ向かう少々トリッキーなダウンヒルも、1km弱の最終ストレートも、手に汗握るフィニッシュを演出してくれるはずだ。

ステージ詳細テキスト:宮本あさか