ゴールデンウイーク最終日のハマスタは最高のゲームとなりました、アメリカから電撃復帰が決まった筒香嘉智が、一軍昇格初戦で劇的な決勝弾。スタジアムは歓喜に包まれ、涙を流すファンもいたようです。

3・4月は11勝14敗1分と負け越したチームも、5月に入って勝ち星が先行。首位から最下位まで2.5ゲーム差という混戦模様のセ・リーグで、勝負はまだ始まったばかり。今回は通常のスタイルに戻って、大型連休前後のチームのトピックを挙げていきましょう。

◆帰ってきた『ハマの大砲』が最高のリスタート

5月6日の東京ヤクルト戦で、5年ぶりのNPB復帰を果たした筒香嘉智が一軍登録。6番・レフトで即スタメン出場となった。ゴールデンウイーク最終日で3万2600人と超満員の観衆の中、まずは初回の守備で平凡なレフトフライを処理すると、スタンドから歓声が上がった。

その裏の日本復帰第1打席は、1死2塁の場面でバットを一度も振ることなく四球を選び、チャンスを広げた。4回は同じく1死2塁からセンターフライで犠飛を記録。復帰初安打は7回の第3打席で、ヤクルト3番手の星知弥から左中間フェンスを直撃する二塁打を放った。

そしてクライマックスは8回、2点を追う2死1・2塁でエスパーダから初球を右中間スタンドに運ぶ逆転3ランで、ハマスタは歓喜に包まれた。NPBでは2019年10月6日のクライマックスシリーズ第1ステージの阪神戦以来、1674日ぶりとなる本塁打に、「ダイヤモンドを1周している時は特別な時間だった」と喜びを噛み締めた。

◆今年も『特別な日』で牧が全開モード突入か

5日の広島戦で牧秀悟が、2安打2打点の活躍でチームの勝利に貢献。試合前まで通算498安打だった牧は、4回の左前打の後、6回には広島先発の九里亜蓮から左中間へ2ラン本塁打を放って区切りの通算500安打を記録した。自身445試合目で達成は球団日本人選手では最速。4年目までの500安打達成は近藤和彦氏以来、球団2人目の快挙となった。

「こどもの日」、この日は牧にとってはゲンのいい日で、2022年から3年連続で本塁打を記録。通算3本塁打は、球団では田代富雄、吉村裕基の4本に次ぐ記録で、3年連続は田代(80年〜82年)と並ぶ球団最長記録に並んだ。

◆中川楓、『恩返し』のプロ初勝利

4月30日の中日戦で中川颯がプロ初勝利をマークした。中川颯は昨季まで所属したオリックスでは、3年間で一軍登板は1試合のみで戦力外に。移籍1年目の今季は4月4日の阪神戦に先発して、5回途中2失点で降板して勝ち負けはつかず。その後はロングリリーフで4試合に登板して防御率2点台と好投していた。

2度目の先発となったこの日は、テンポの良い投球で、5回まで与えた走者は2回に細川成也に打たれた二塁打の1人のみ、投球数43球中ボール球はわずか6球とほぼ完璧な投球。7回に連打で無死1・2塁とされた際に右腕の張りを訴えて降板となったが、7回途中1失点でプロ初勝利となった。横浜市戸塚区出身、チームの連敗を3で止めた生粋のハマっ子は「拾っていただいた恩返しができてよかった」と安堵の表情だった。

◆今週の度会隆輝(4月29日〜5月8日)

4月29日からの中日戦。度会隆輝は初戦に1番起用で3打数1安打、30日はプロ初の6番でスタメン出場。初回の第1打席から2死1・2塁、3回は2死1、・塁、6回は無死1塁と、3打席全て走者を置いての打席だったがいずれも凡退。8回の無死1塁で送りバントは決めたが、無安打に終わり、翌日はプロ入り後、初のスタメン落ちとなった。

この試合で打線が今季最多の17安打12得点と爆発したこともあり、続く3、4日の広島戦も出番はなし。6番で4試合ぶりの出場となった5日に4打数3安打で自身4度目となる猛打賞を記録したが、6日の東京ヤクルト戦は代打出場で安打、1番に復帰した8日は4打数ノーヒットで打率は.235となった。

この試合では、満塁のピンチでフライを落下点に達しながら、風の影響で捕球できずプロ初失策となるタイムリーエラーを記録。三浦大輔監督も「まだまだ課題は多い」と苦言を呈した。

文:大久保泰伸