総合争いに決着をつける第20ステージ、難易度五つ星184kmの山岳ステージ、目玉はなんといっても登坂距離18.1kmモンテ・グラッパ二重登坂、16kmもの下りの先にフィニッシュ地点が設置された。オフィシャルスタートが切られるとファーストアタックがかかり、一筋縄ではいかない模様。メイン集団は速度を全く緩めず、厳しくチェックしている。ダヴィデ・バッレリーニ(アスタナカザクスタン)、ロレンツォ・ジェルマーニ(グルパマ・FDJ)、少しタイムギャップをつけることに成功。メイン集団からはアンドレア・ピエトロボン(ポルティ・コメタ)が単騎で、アンドレア・ヴェンドラーメ(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、ペラヨ・サンチェス(モビスター)らが飛び出している。

4級山岳はジェルマーニが先頭通過、メイン集団は急坂に詰めかけたファンでいっぱいとなり何度か停止を余儀なくされそのタイミングで先頭グループが容認された、ただしタイム差は最大でも4分でUAEチームエミレーツがコントロール。1度目のモンテ・グラッパに入ると先頭グループ11人はバラバラに、メイン集団から単身飛び出したジュリオ・ペリツァーリ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が追いつき山頂を先頭通過、40ポイントを加算し山岳賞2位へと返り咲く。メイン集団はUAEチームエミレーツの牽引でタイム差を1分弱まで詰めている。

長い下りは先頭を走るペリツァーリやサンチェスの方が速く、タイム差を2分半まで広げたがUAEチームエミレーツのアシスト陣の働きの前では重要ではなく、総合トップ10圏内のフィリッポ・ザナ(ジェイコ・アルウラー)やロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)はついていけない。最終発射台ラファウ・マイカ(UAEチームエミレーツ)の出番の頃にはマリアローザ・グループは14人にまで縮小、残り距離36.1kmでタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ)がアタック、誰もついていくことはできない。あっと言う間にペリツァーリをかわし単独先頭へ、山頂を越え総合優勝のためのウィニングロードを走り抜ける。

後続はダニエル・マルティネス(ボーラ・ハンスグローエ)、アントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス)、エイネルアウグスト・ルビオ(モビスター)、15秒遅れてしまったゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)とベン・オコーナー(デカトロン・AG2Rラモンディアル)、ヤン・ヒルト(スーダル・クイックステップ)はヴァランタン・パレパントル(デカトロン・AG2Rラモンディアル)が牽引役でみんなを絶望から救っている。

ポガチャルは並走する子どもにボトルをプレゼント、フィニッシュラインで詰めかけたファンにおじぎをしながら2分7秒の差をつけて区間6勝目、マリア・ローザ着用19日目、総合2位のマルティネスに対し9分56秒差、山岳賞は64ポイント差をつけて初出場のジロ・デ・イタリアを鮮やかに制圧、明日のローマで凱旋、フィナーレを迎える。

「チームメートが完璧な働きをしてくれた、スロベニアから応援に来てくれたみんなのためにも勝ちたかった、とてもいいレースができた」ポガチャル、ステージ勝利後インタビュー

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】ジロ・デ・イタリア 第20ステージ|Cycle*2024

ステージ順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 4h 58' 23''
2 ヴァランタン・パレパントル(フランス/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 02' 07''
3 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ),,
4 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス),,
5 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター),,
6 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ),,
7 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ),,
8 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル),,
9 マイケル・ストーラー(オーストラリア/チューダープロサイクリングチーム)+ 02' 31''
10 ラファウ・マイカ(ポーランド/UAEチームエミレーツ)+ 03' 08''

個人総合順位
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)in 76h 22' 13''
2 ダニエル・マルティネス(コロンビア/ボーラ・ハンスグローエ)+ 09' 56''
3 ゲラント・トーマス(イギリス/イネオス・グレナディアーズ)+ 10' 24''
4 ベン・オコーナー(オーストラリア/デカトロン・AG2Rラモンディアル)+ 12' 07''
5 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)+ 12' 49''
6 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 14' 31''
7 エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア/モビスター)+ 15' 52''
8 ヤン・ヒルト(チェコ/スーダル・クイックステップ)+ 18' 05''
9 ロマン・バルデ(フランス/dsmフィルメニッヒ・ポストNL)+ 20' 32''
10 マイケル・ストーラー(オーストラリア/チューダープロサイクリングチーム)+ 21' 11''

ポイント賞
1 ジョナサン・ミラン(イタリア/リドル・トレック)327 Pts
2 カーデン・グローブス(オーストラリア/アルペシン・ドゥクーニンク)200 Pts
3 ティム・メルリール(ベルギー/スーダル・クイックステップ)143 Pts

山岳賞
1 タデイ・ポガチャル(スロベニア/UAEチームエミレーツ)270 Pts
2 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア/VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)206 Pts
3 ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ/EFエデュケーション・イージーポスト)153 Pts

ヤングライダー賞
1 アントニオ・ティベーリ(イタリア/バーレーン・ヴィクトリアス)in 76h 35' 02''
2 テイメン・アレンスマン(オランダ/イネオス・グレナディアーズ)+ 01' 42''
3 フィリッポ・ザナ(イタリア/ジェイコ・アルウラー)+ 11' 10''

チーム総合順位
1 デカトロン・AG2Rラモンディアル(フランス)in 229h 54' 37''
2 イネオス・グレナディアーズ(イギリス)+ 44' 23''
3 UAEチームエミレーツ(アラブ首長国連邦)+ 1h 01' 50''

5月26日(日) 第21ステージ
ローマ > ローマ
125 km(平坦 ★☆☆☆☆/獲得標高 300 m)
歴史的建造物や遺跡を堪能したあと大集団フィニッシュで戦いは幕を下ろす

終わりのないトロフィーが、永遠の都で光り輝く。前夜東アルプスの麓で総合争いを終えたジロ一行は、選手たちは飛行機で、大多数のスタッフは陸路で、約550km離れた首都ローマへと大移動。そして5月最後の日曜日の、午後遅く、歓びあふれた凱旋パレードへと走り出す。

2年連続でローマが最終スプリントの舞台に選ばれた。1年前はマーク・カヴェンディッシュがグランツール区間54勝目を祝ったが、今年は果たして、どんなスプリンターが栄光をつかみ取るのだろうか。全長125kmのコースは、構成自体は昨年と同じ。新都心エウローパ地区から走り出し、まずは最後にもう一度だけ海を見に行く。ただ1年前はあっけなく海岸で折り返したが、今回のプロトンには、初夏のビーチをゆっくりと眺める時間も与えられる。

周回コースはほんの少し短縮された。全長13.6kmのサーキットコースを6回巡る代わりに、9.5kmのサーキットを8周回。つまり歴史的旧市街を、より集中して、たくさん巡る。沿道に詰めかけたファンたちも、去年より2回多く、選手通過を楽しめるというわけだ。

もちろん画面越しに応援する我々も、プロトンの背後に点在する、たくさんの歴史的建造物や遺跡をじっくり堪能することができる。都市の象徴コロッセオからローマ歴代皇帝の像が点在するフォリ・インペリアリ通り、さらには古代遺跡群フォロ・ロマーノにナヴォーナ広場、サンタンジェロ城、カラカラ浴場etc...。

ひどくコーナーの多い周回コースで、しかも「サンピエトリーニ(ローマ歴史的地区に特有の石畳)」が敷き詰められたホームストレートの上で、3週間で最後の全力疾走。勇壮な大集団フィニッシュで戦いは幕を下ろし、マリア・ローザを筆頭とした英雄たちの名は、ジロの長く豊かな歴史に永遠に刻まれるのだ。

ステージ詳細テキスト:宮本あさか