キム・スヒョンとキム・ジウォンの主演で爆発的な人気を獲得して終了した『涙の女王』。このドラマは題材が多彩だったが、顕著だったのが「悪役」が強烈だったことだ。ユン・ウンソン(パク・ソンフン)とモ・スリ(イ・ミスク)という親子は、乗っ取り・殺人・捏造を繰り返していて、嫌悪感を持った視聴者も多かったことだろう。

そんな悪役を見ていて思い出したのが、『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』である。このドラマも悪人だらけだった。実際、ソン・ヘギョが演じたムン・ドンウンを高校時代に徹底的にイジメた5人は本当に嫌な連中だった。ズラリと並べてみると……。
●パク・ヨンジン(イム・ジヨン)
気象キャスターとしてテレビで活躍していたが、根っからの悪人であり、ムン・ドンウンをイジメ抜いた主犯格だった。
●チョン・ジェジュン(パク・ソンフン)
ゴルフ場のオーナーになっているが、本当にタチが悪い男だった。
●イ・サラ(キム・ヒオラ)
画家となったが、クスリ中毒で常に精神に異常をきたしていた。
●チェ・ヘジョン(チャ・ジュヨン)
航空会社に勤めるキャビンアテンダントで、虚飾にまみれた女性だった。
●ソン・ミョンオ(キム・ゴヌ)
極端に性格が悪く、チョン・ジェジュンの使い走りとして無作法に生きていた。

「悪党ドラマ」の代表格

以上の5人は大人になってもワルそのものでひどかった。
一方、『涙の女王』の悪役2人を見てみよう。
●ユン・ウンソン(パク・ソンフン)
少年時代に母親に捨てられた、という辛い過去があるとはいえ、大人になって「悪事の巣窟」と言えるほどの極ワルになった。いくらヘイン(キム・ジウォン)の愛を得たいからといっても、殺人・捏造まで手を染める性格は異常だった。
●モ・スリ(イ・ミスク)
財閥会長の愛人となって、長い時間をかけて狡猾なやり方で「乗っ取り」を画策した。結局は悪事を重ねて望みを叶えたが、世の中は甘くない。最後は刑務所の中で周りの人間からボコボコにされるほど惨めな境遇になった。「悪は滅びる」の典型的な存在だ。
以上のような顔ぶれになったが、悪人の多さでは『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』が上だが、悪事のあくどさでは『涙の女王』のほうが強烈だった。印象としては『涙の女王』に軍配があがりそうだ。
いずれにしても、この2つの作品は「悪党ドラマ」の代表格だった。しかも、両方で悪役を演じたのがパク・ソンフンだ。まさに彼には「悪の帝王」の称号を贈りたいほどだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)