370年以上の歴史を持つ富山県南砺市の福野夜高祭が1日、福野地域中心部で始まった。祭りを伝承する全7町が夜の闇の中、大中小の夜高行燈(あんどん)計18基を勇壮に練り回し、町中を幻想的な光で照らした。2日まで。

 7町の行燈は福野地域中心部の通称「銀行四ツ角」を出発し、福野神明社を経由して各町を回った。笛や太鼓の音が鳴り響く中、高さ約6・5メートルの極彩色の大行燈が若衆の威勢のいいかけ声とともに通ると、地元住民や観光客から歓声が上がった。東京都世田谷区の大学生、木下凛音(りお)さん(21)は「初めて見に来たが、想像以上に行燈が大きくて迫力がある」と興奮冷めやらぬ表情で話した。

 同地域のギャラリー市の里1号館で開かれている夜高行燈の武者絵の展示や、街路に並んだ露店もにぎわいを見せた。

 2日は行燈を練り回した後、若連中が相手方の行燈を壊し合う引き合い(けんか)を行う。

 福野夜高祭は、1652(慶安5)年の大火で焼け落ちた町を再興する際、行燈をともして伊勢神宮の御分霊を神明社に迎えたことが起源とされる。県指定無形民俗文化財で、日本ユネスコ協会連盟の「プロジェクト未来遺産」にも認定されている。