「浪花(なにわ)のモーツァルト」の愛称で親しまれた作曲家キダ・タロー(本名・木田太良=きだ・たろう)さんが14日、死去した。93歳。宝塚市出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻でタレントの木田美千代(きだ・みちよ)さん。

 1930年、5男1女の末っ子として宝塚市で生まれ、西宮市で育った。父は警察官。関西学院中学部から高等部へ入り、神戸のクラブでタンゴバンドを始めた。関西学院大社会学部に進むが、バンド活動のため中退。オーケストラのピアニストとなり、30歳を過ぎてから作曲を始めた。北原謙二の「ふるさとのはなしをしよう」(65年)、「アホの坂田」(72年)などが支持された。

 メロディーの軽妙さと耳に残る心地よさが特徴。数々のCM曲も手がけ、有馬温泉の「有馬兵衛向陽閣」、「かに道楽」「くいだおれ」などを多くの関西人の記憶に残した。「プロポーズ大作戦」といった番組テーマ曲のほか、加東市の応援歌「勇躍加東」などご当地曲、校歌、社歌と幅広く世に送り、その数は3千近いとされる。

 タレントとしても活躍。「フレッシュ9時半!キダ・タローです」などのラジオパーソナリティーを務め、テレビ「探偵!ナイトスクープ」に出演した。

 2012年には神戸新聞「随想」を執筆。14年、文化庁芸術祭賞大衆芸能部門大賞を受けた。