現金を持たずに支払いができて各種ポイントもためられるキャッシュレス決済。経済産業省によると、2023年には決済の39・3%まで普及。「スマホ片手にお買い物」が浸透する中、「コンビニで熊本市指定のごみ袋を買おうとしたが、現金でしか販売できないと断られた」との投稿が、熊日のSNSこちら編集局(S編)に寄せられた。コンビニエンスストアで確かめてみた。

 意見を寄せたのは、熊本市西区の会社員、村上あすかさん(46)。4月、同区の大手コンビニチェーンの店舗で、ごみ袋と弁当を求め、ごみ袋のみQRコード決済の利用を断られたという。

 当時、財布はなく、弁当のみ購入。村上さんは「『金券扱いになるから販売できない』と説明を受けた。現金でしか買えない物がコンビニに存在するとは…」と首をかしげる。

 記者も実際に、同じコンビニで、ごみ袋の購入をしたが、レジで「現金でしか販売できませんが購入しますか?」と声をかけられた。店員に理由を聞くと、「全店同じ対応」という。

 一方、別の大手コンビニでは、同じQRコード決済でごみ袋を買えた。試しに寄った熊本市内のホームセンターでも利用できた。店長によると約1年前から、ごみ袋と別の商品をまとめて購入するケースでも、QRコード決済が可能になったという。

 「店舗のシステムの都合で対応が異なる可能性がある」と言うのは、熊本市廃棄物計画課の坂田文昭課長(57)。市は指定ごみ袋を導入した09年当初、「現金のみで販売」がルールだったが、20年から「キャッシュレス決済でも販売可能」に変更した。

 「市民や取扱店から、ごみ袋だけ別会計になるのは不便との声があり、時代の変化に対応した」と坂田課長。24年4月末現在、熊本市内で指定ごみ袋を販売するのは845店。キャッシュレス決済に対応するかは、各企業や店舗の判断に委ねている。

 ただ、村上さんが利用したコンビニは、キャッシュレス決済に対応しており、「システムの都合」は思い当たらない。坂田課長に詳しく聞くと「ごみ袋にはほかにも、ルールがある」。

 熊本市では、ごみ袋販売で、コンビニやスーパーなどの独自のポイントを付与することはできないルールを設けている。どこで購入しても同じ値段にするためで、ポイント付与すれば実質、値引きにつながるからだ。

 QRコード決済に対応するコンビニチェーンでは、実際にその店独自のポイントはつかなかった。一方、非対応だったコンビニは、自治体指定のごみ袋の場合、現金か自社アプリの決済サービスでのみ受け付けている。本部の広報担当者は「自治体ごとにごみ袋に関するルールは異なる。現金か自社アプリでの決済なら、(購入後の)対応がしやすいし最終的な責任が取れる」と説明した。(東有咲)