行楽シーズンとなり、外出する機会が増える時期ですが、はじめて行く観光地では、都市部とは違う道路事情に戸惑うこともあります。一体どのようなことに気を付けるべきなのでしょうか。

観光地に潜む危険なポイントとは?

 行楽シーズンとなった今、カーナビを頼りに、初めて行く場所へのドライブを計画している人もいるかと思います。
 
 市街地での運転に慣れている人でも、遠方の観光地特有の道路事情などもあり、運転に関する注意点がいくつかあるようです。

 普段は市街地など近隣の走行がメイン、またはあまり運転をしない人が戸惑いやすい観光地ならでは走り方などについて、都内某教習所で指導員として勤務していたI氏に聞いてみました。

 郊外の観光地にはいつもの市街地とは違う「状況的要因」が数多く潜んでおり、これを意識しておくことが、トラブルを未然に防ぐ対策になるとI氏は言います。

「観光地は、景色の良い山岳部や沿岸部にあることが多く、そこまでの道路は峠だったり海沿いだったりで、実はかなり走りにくい道路状況も多いものです。

 それに加えて、観光客でやってきた歩行者への対応も必要となってきます。

 クルマでの走りにくさを理解し、いつもの以上に注意して運転ください」

 特に注意すべき観光地周辺の状況的要因とその対策をI氏に教えてもらいました。

●下り坂が続く道ではフットブレーキの使いすぎに注意

「山岳路や峠道に多いのですが、ずっと下り勾配でカーブが恋速するような道は、ついついフットブレーキに頼った運転になりがちです。

 フットブレーキを使い続けると、ブレーキパッドやローターが熱を持ちすぎて効きが悪くなる『フェード現象』や、ブレーキフルードに気泡が発生してしまい、ブレーキの油圧が掛からなくなる『ベーパーロック現象』なども起きやすくなります。

 AT車でもシフトレバーを操作して1段ギアをダウンさせ、エンジンブレーキを上手に活用してフットブレーキへの負荷を減らす運転を心がけてください」

●未舗装路は雨が降っていなくても滑る

「パワースポットや景勝地などへの道中は、必ずしも整備された道ばかりとは限りません。場所によっては狭かったり路面が荒れていたり、ときには舗装されていない砂利道の場合もあります。

 砂利道はタイヤのグリップ力が極端に低下するので、非常に滑りやすいです。舗装路と同じ速度で進入してしまうと、曲がったり止まったりすることができず、ガードレールや壁に接触してしまう可能性があります。

 前方に砂利道があることがわかったら、速度を落として走行するのが安全です」

●観光地の駐車場は停め方に注意

「無事に目的地まで到着できたとしても、観光地の駐車場は必ずしも十分なスペースがあるとは限りません。特に人気観光地は駐車スペースが限られているケースも多く、またお店の駐車場なども混雑していることが多々あります。

 そして路面が未舗装だったり傾斜が付いていたり左右のクルマとの距離が狭すぎたりとさまざまです。

 うまく駐車枠に収めたとしても、降りるときに斜めに傾いていてドアが開きすぎ、隣のクルマにドアパンチしてしまうことも想定されます。

 クルマから降りる時は必ずPレンジにギアを入れ、パーキングブレーキをかけ、ドアの開閉に気をつけてください」

●歩行者(観光客)の飛び出しに注意

「観光地を訪れる人は気分が高揚して、周囲への注意力が低下しがちです。目の前の観光スポットに気を取られて急に道路を横断したり、車道を歩く人も大勢います。

 特に路上のクルマの影から飛び出す歩行者には注意が必要です。『かもしれない運転』を心がけ、人が多い場所では徐行するなど、交通事故を起こさないように最大限の注意を払いましょう」

※ ※ ※

 春は、運転免許を取得したばかりの初心者ドライバーも増えます。いつも以上に周囲を確認し道路状況を把握しながら、安全運転でドライブを楽しみましょう。